第6回:おしえて!マイルスト〜ン『地図になったmilestone』前編

2023/06/25 UP | POSTED BY milestone

この連載は、milestoneのアイテムを作ってきた人(ファウンダー西岡)と使ってきた人(中途入社の吉田)の二人の話を(#水曜ぶどう坂練で一緒に走っている萩原が)聴いて、深堀りしていく企画です。

 

 ここが地元

萩原(以下H):今回はアイテムではなく、いよいよオープンする新店舗について、きっかけ含めて、どんな場所なのかを教えてもらいたいです。

 

西岡(以下N):元をたどれば、土井さんと「ロードトリップ」で全国行脚した時に、九州へ向かうフェリーの中、二人部屋でお酒飲みながら、「milestoneも場所を持って何かできたらいいよね」っていう話をしていたことがあって。2021年の3月かな。

  

吉田(以下Y):トレイルマスターを試してもらう「ロードトリップ」の話は、第一回のヘッドランプの中で出て来ましたよね。

 

N:その時は、いつかそんな事やれたらっていう話だったんやけど。そしたら、たまたま、うちの会社の向かいの土地が空くということになって。測量士が来て測ってたから「どうしたんですか?」って。そしたら地主のおっちゃんが「息子も東京やし、わしも80歳超えてるし、この土地を売ろう思ってるねん」て。「えぇ?!いや、おっちゃん、ちょっと話聞かしてや」って。もう銀行に売る予定で決まってたんやけど。会社のあるここが実家やし、お向かいのおっちゃんには、小さい頃からキャッチボールしてもらってて。元はサンダル屋さんで。この辺多いんやけどね。「ヘップ屋」言うて。

 

Y:ヘップ?初耳。ほな、梅田の観覧車も…。

N:関係ないやろね(笑)

N:ほんで「おっちゃん、俺もそんなん興味あるわ」て、なんにも決まってないのに、言うてもた(笑)

 

Y:すごいなぁ(笑)

 

N:まず親父に相談しようと。何かやれたらええなと思うし、やりたいねんっていうのを伝えて。親父も「ほな、一緒に話聞きに行こうか」って行ったんよ。そしたら地主のおっちゃんも「そら、地域の人に譲る方がええ」て言うてくれはって、話全部ひっくり返してくれてトントン拍子に「西岡さんに譲りますわ」ってなったわけ。ほんますごいタイミングで。

Y:ほんまですね。

N:たまたま俺がおって、おっちゃんがおって、声掛けて。すごいラッキーだったなと思って。将来何か場所を持ちたいというのもあったし、こんなタイミングないわって。ちょっと大きかったけど、これも行くしかないぜということで、更地にしてもらって。もし居抜きの建物なら、やれることは限られるから、ここはこう使おうとか決まってくるんやけれども、ゼロからやから、ありとあらゆることができるわけで。

H:可能性無限大ですね(笑)

 N:前回ソックスの話でも登場した、デザイナーのK君に相談して。彼はmilestoneのブランドデザインからカタログから、ロゴ、ベルト、ヘッドランプのカラーリングからTシャツデザインまで、milestoneには欠かせない存在。もう僕の相方みたいな存在で、最初から携ってくれている1人。

N:幸いにもグラフィックだけじゃなくて、建物の内装やパースだったり、設計もやってはる人やから、K君に頼むしかないやん。一番わかってくれてるから。しかもセンスが抜群に良いし。で、じゃあ、ゼロからどう建てるかってときに、うちの親父が「扉は真南に向けたらええ」ていう一言があって。多分風水的な考えやと思うけど、それが一つの指針としてバーンと決まったから「それや!」って、進み出した。

 

N:通りに対して建物をセットバックすることで、全体的に余裕のある空間ができた。扉も全開できるようにしたり、カウンターが中から外にドーンって出てきてて、中と外をボーダレスにして一緒に使えるような空間にするっていうコンセプトが固まったんよ。

N:そして、第一にヘッドランプメーカーであるがゆえに、ヘッドランプの明るさを体験してもらうための「暗室」を作るっていう目的があって。うちの特長である電球色のヘッドランプっていうのを見てもらいたいから、スモークマシーンで霧をたいて、白色と電球色の違いを体感してもらう、せっかくやから山の中にいるような擬似体験ができるスペースを作ろうと。

 

H:霧までも(驚)。蛍光灯の下でヘッドランプを付けてもわからないですもんね。

 

N:たまたま近くに造花の植栽を得意としてる専門店があって、駄目もとで飛び込んで、主旨とコンセプトを伝えたら、「全然やります、歩いて行きますよ」って言うてくれて。しかも土井さんの事や「BAMBI100(生駒山と矢田丘陵で行なわれる100マイルランイベント)」の事も知ってくれてて、これはココにお願いしようって即決でしたね(笑)。何より自分は地域密着でやりたいから、周りのご近所さんを巻き込んで。

 

Y:だから店舗名も寺田町で。

 

 

N:近くにはあべのハルカスもあるから、マイルストーンあべのとか、マイルストーン大阪とか、いろんな呼び名が有り得たと思うねんけど、あえて「寺田町」にした。東京の人はこの下町を知らんと思うし、大阪でもそんなに知られてへん。でもそれを逆に名称にして、これから少しでも覚えてもらえたらと思ってます。ここが地元やから。そういう思いも込めて「milestone TERADACHO」という名前に決めました。

 

セオリーからの逸脱

 

Y:今回は愛情の傾け具合から95パーセントぐらい西岡さんに喋ってもらおうと思ってたんやけど(笑)

実は入社前から店舗の大事な会議に参加させてもらってて。去年11月に入社した時には、まだ更地で。コンセプトと図面の外枠くらいで、各階フロアの中をどうするかは、まだあんまり決まってないくらいの感じでした。

 

N:そうやったね。

 

Y:商品は一緒に開発させてもらってるので、ほんまに自分の子供(作品)だと思って、細かいところもめっちゃ気になるんですけど。店舗に関しては、やっぱりもう西岡さんの愛情がすごくて(笑)。初めて付き合った彼女の話を聞かされてるくらい。

 

Y:僕入社して1ヶ月2ヶ月ぐらいは、「ちょっといい?」って呼ばれるから、何やろと思って行ったら、建設中の店舗で「ここええやろ?コンクリートが流し込まれてる。これヤバない?(良い意味で)」って毎日確認されるような状態だったから。「ほんまやね」しか言われへん(笑)

 

N:建物の専門用語もだいぶ覚えたし。現場監督と毎日喋って、今日はどんな工程や段取りだとか、現場監督よりも毎日現場来てるからね(笑)

 

Y:自分は今まで店舗販売の経験があるから、実際の店舗やるってなったときに、セオリーとしてはこうした方がいいです、って伝えました。例えば、その商品を置く什器のデザインはかっこいいけど、商品を飾る場所が足りないですよね、とか。ストックを置けないと販売もしにくいです、とか。販売のところに関しては、悪いけど口出しさせてもらいますって、今まで何回か思うこと言わせてもらいました。

その販売のセオリーを度外視して、コンセプトのところが勝つところが結構あって。ふつう、路面店を作るってなると、売り上げのことを考えると、絶対に一階が売り場なんですよ。

一階は事務所です、二階へどうぞおあがりください、て言われるコンビニには入らないじゃないですか(笑)。

 

H:そんなん見たことないですね。

 

Y:だから販売のセオリーからは逸脱してますよって、最初にびっくりして言うたんですけど。でもやっぱり「買ってください買ってください」っていうのは、この店舗では一番じゃなくって、「ランナーや山好きな人が集まる場」にしたいっていうのが、コンセプトとして一番にあったから。

売り上げはもちろん欲しいけど、それは二の次で。だから売り場が二階なのは、今はもうそれで良かったなって思っているんですけど。いちいち面白いというか、びっくりさせられることが多々あって、この半年間ずっと出来上がっていく様子を毎日横で見てました。

 N:いわゆるコミュニティスペースというか、人が集まれる場所になれば良いなと思って。長いカウンターがあるんで五、六人は座れる。コンセントもUSBもついてるから、デスクワークもできるようにして、リモートワークの人も来てくれたらいいし。

N:真ん中は、ご相談窓口のようなスペースで、例えば、2泊3日でどこどこ行くんですとか、1泊2日でアルプス行きますみたいなときに、こういうのがいいんじゃないですか、みたいにして地図を広げたり。ヘッドランプはもちろん、いろんなギアやシュラフを置いて、お客さんと話ができる空間にしようと。一応、DJブースも作ってるねんけど。

 

Y:地図や山にまつわる本も置こうと思ってます。

 N:あとはシャワールームがございます。一基ですけど。ランニングステーションとまではいかないけども、どこか走って、ここでシャワー浴びて、ビール飲んで帰ってもらうのも良いかなと思って付けてます。駅近やし。

  

Y:JR環状線「寺田町駅」から160m。徒歩2分、走って1分です。

Y:二階の物販スペースは、ヘッドランプや小物、アパレルがあって、帽子を32色全色並 べます。店舗限定の帽子もあります。

N:ここやるときに、キャッシュレスにしようって、最初から思ってて。現金はおつりの問題とか、精算合わへんようになるのはもう目に見えてるので、レジはございません。そういうのもいいかなと思って。だからコーヒー飲もうが、シャワー浴びようが全部キャッシュレス決済です。

 

Y:現金しかないですっていうお客さんを逃してしまうわけだから、それも小売の常識からは逸脱してるんですよ。だけどそうしたいっていうところが強くあったら、そこを貫くのもブランドとしてはアリなんじゃないかなと。未来のことを見据えてて。

N:もうだいぶ世の中キャッシュレスになってるしね。

 

Y:ただ毎回セオリーからは、外れててびっくりさせられるっていう(笑)

 

 

後編へ続く

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