第18回:おしえて!マイルスト~ン「RUNの前にあったもの」
2024/06/24 UP | POSTED BY milestone
この連載は、milestoneのアイテムを作ってきた二人(西岡&吉田)の話を(#水曜ぶどう坂練 で一緒に走っている萩原が)聴いて、深堀りしていく架空のポッドキャスト番組です。
西岡(以下、西):みなさん、こんばんは!マイルストーンの西岡です!
吉田(以下、吉):マイルストーンの吉田です。
萩原(以下、萩):どうも、萩原です。
西:今日も仲良く元気にやっていきたいと思います! 吉田さんは100マイルを走ったところですね。どこを走ってきたんでしたっけ?
吉:箱根外輪山を3周です。チキンハートというランニングチームが主催している「H3」というレースではなく、イベントですね。なんとか完走してきました。
西:素晴しい!
吉:過去イチきつかったです。累積標高が10,000mありましたから。
西:いちまん! 目ん玉飛び出るわ。
吉:飛び出ましたよ(笑)後半から補給が取れなくなったのが大きいんですけどね。終わった後の体のダメージも過去イチです。
西:それでも、ちゃんとやり遂げるところが流石やね。
萩:湿布貼ってる脚がしんどさ物語ってますね。お疲れさまでした。
西:で、今回は1周年イベントのお知らせです。ブランドとして10周年でもあるんですが、昨年milestone TERADACHOがオープンして6月30日でちょうど1年になるんです。
西:めでたく1周年を迎えられたので、何か特別なことができればと。じゃあ、どんなイベント?って考えた時に、もちろんランもやりたいけど、この場所で、となると音楽っていうのが先にきて。
吉:一階のスペースもあるし、DJブースありますからね。
西:できるなと。じゃあ、誰を呼んでどんな感じにしようかと。自分も昔、音楽やってたから、音楽仲間に来てもらうというのも一つかなとは思ったんやけど、milestoneのお客さんやユーザーに共感してもらえる人を呼びたいなと。そんなことを考えながら走ってると、ピピっときたんです。既に告知をしてるのでもうご存知かと思いますが、トレイルランニングを日本に持ち帰ってきた第一人者、石川弘樹。
萩:まさかですね(笑)
西:彼が音楽好きやっていうのは知ってたので、ダメ元でオファーしたんです。トレイルランナーとして呼ぶトークショーやランニングイベントは過去にも沢山あったけど、DJとして呼ぼうというのは、他に誰も思いつかないだろうと。
吉:世界のエルドラゴンですからね。
西:なんと引き受けて頂いて。ほんまに有難い。寺田町に石川弘樹が来るんやから。
吉:DJとしてね(笑)
西:とにかく弘樹さんに楽しんでもらいたい。僕もDJさせてもらいますけど、僕らが楽しまないとお客さんに楽しさは伝わらないと思うから。どんなお客さんが来るだろう、どんな曲が合うだろうよりも、弘樹さんが良いと思うものを掛けてください。弘樹さんに楽しんでもらいたいから、って伝えました。それやったらいけるかも、ってなったわけです。
萩:踊ってる姿も見たい!
西:そして、二人じゃなくて、もう一人いるとバランスが良いなと思って、すぐパンって頭に浮かんだのが、東京のトレランショップ Run boys! Run girls! 代表の桑原慶さん。
萩:おおお!
西:慶さんは、僕からすればお取引先様やから、年に何度かお店へ営業に行かせてもらうけど、行けば音楽の話を二時間くらいしてる(笑)今の音楽をよう知ってはるから。お店でもいつもええBGMが掛かってて。聞いてみたらドイツのラジオ局を流してるって。
吉:へえー。
西:別のタイミングで東京で展示会があった時に、慶さんに相談がありますっ!てアポ取って、“milestone TERADACHOの1周年パーティーでDJしてもらえませんか?”と。そしたら、“やるよっ!”て二つ返事で言ってくれて。
西:実は、弘樹さんにもオファーをしている事をその場で伝えて。二人はフットサルでも繋がってるし。歳は二人とも僕の1つ上なのでほぼ同世代。トレイルランニング歴でいうと全然違うけどね。
西:今日は、そのスペシャルゲストの二人とビデオチャットをつなぎます。
萩:なんと!
・音楽からトレイルランニングへ
(ビデオチャット開始)
西:こんばんわ!宜しくお願いします。今日はいろいろ質問させてもらいたいと思います。
西:僕が弘樹さんとはじめて出会ったのは…
石川弘樹(以下、石)ちゃんと話したのは、大阪のショップRUN WALK Styleだったと思います。
西:弘樹さんが登場する何かのプロモーションビデオでレコードが回るところから始まってたのが印象的で。昔ドレッドヘアで、レゲエが好きというのは何かの記事で知っていたので、音楽好きな人間としては、そこにぐっと入り込んだら覚えてもらえるかなと思ってお話しさせてもらいました。
石:ランの話よりそっちの話をした思い出があります。笑
西:そうでしたよね。慶さんと初めてお会いしたのは、お店へ営業に行かせてもらった時ですかね?
桑原慶(以下、桑)スリーピークスで出店ブースが隣だったこともありましたよね。
西:ありましたね! 慶さんとは営業に行ったらいつも、最近どんな音楽聞いてるっていう話で、仕事の話は最後にちょびっとで。慶さんはアンテナめちゃめちゃ張っててすごいんですよ。ジャンルの幅も広くて。ビートボックスのコレ面白いよ、とか日本語ラップの若い子で今コイツらがアツいんだよとか。9割くらいが音楽の話です。
石:へぇ、そんな感じなんだ。
桑:なかなかトレイルランニング界隈で、そういう話ができる人がいないので嬉しくて。
西:そう思って頂けてるなら有難いです。実はそのスタイルで良いかなと思ってて。だって、いきなり新商品を机に置いて、注文下さいよっていうのもアレなんで、笑。いつもフランクに話させてもらってますよ。なので弘樹さんと出会ったときも、走ることよりも音楽の話でぐっと近づけたというのがあったので、今回お声を掛けさせて頂いたんです。
西:それでは、早速ですが今日はお二人にいくつか質問を用意しています。普段、あまり聞かれることないと思いますが、音楽に目覚めたきっかけを教えてもらっても良いですか?
石:トレランを始める前、将来サッカーがしたくて大学にもサッカーで入ったんです。ある日、大学の先輩に青山のアフロマニアっていうレゲエクラブに連れて行ってもらったんです。その頃ちょうど、サッカーからフェードアウトしかけてたので、音楽がドーンと入ってきて。そこからサッカーもするけど、いろんなものを聴き出すようになって、メインがレゲエだったんです。当時なのでレコードを買い集めるようになって。クラブで掛かる旬なモノ、こんなリズム、こんな雰囲気の曲があるんだっていう発見が面白くて。知らない曲があるとDJに直接聴いちゃおうと思って、いつもポケットに小さいノートとペンを持ってて、「今の曲なんすか?」って訊いて帰ってくるっていうクラブ遊びをしてたんですよ。
西:ノートとペン! アナログ(笑)
石:レコード収集を始めたのが20か21歳くらい。居酒屋でバイト、部活、音楽のクラブ活動って生活で、バイト代はレコードに掛けてて。三宿に下宿してて、そこにWEB(ウェブ)っていうクラブがあったんです。しょっちゅう通ってるなら、もう働いちゃった方が良いかなと思って、そこでキャッシャーやウエイターをしながら、時々メインDJの間で「つなぎで掛けといて」って感じで短い時間だけやらせてもらってました。そのお店で仲良くなったお客さんに「石川くんサッカーしてるんだよね、助っ人に来てよ」って言われて。その方は音楽のライターさんだったんですけど、そのチームにはファッションや色んな業界の人がいて、その中にアドベンチャーレースに日本人で初めて出た人がいたんです。北軽井沢でアウトサイドベースっていうキャンプ場をやってる田中ケンさんっていう方で。
西:存じ上げてます。コールマンのアンバサダーをされてるますよね。
石:ケンさんは高校時代はサッカーをされてて。走って、自転車乗って、クライミングする、カヤックもする、すごい世界があるんだなと。いつかアドベンチャーレースに出てみたいと思って、サッカーのトレーニングのためのランニングじゃなくて、自分のために走る、走ることも楽しいなと思ってジョギングを始め、草レースにも出るようになったんです。ケンさんとさらにケンさんをアドベンチャーレースに誘ったモデル/アウトドアエッセイストの木村東吉さん、あと田中崇さんはその当時アウトドアやフィットネス関連のバイヤーをやってて。そんな方たちに出会って。木村さんが河口湖に住んでたんで「じゃあ、今度遊びに来い」ってことで、そこで「おい、山走るぞ」って樹海を走ったのが、いちばん最初のトレイルランニングです。
西:樹海?!
石:そこからアドベンチャーレースにいつか出たいっていう思いで、バイト代でマウンテンバイクを買って、クライミングジム行ったり、カヤックやカヌーに連れて行ってもらったりしてました。大学は5年行ってるんですけど、卒論だけ残して5年目の1998年には自転車でアメリカを旅して、その間にレースに出るようになって。初めてのレースは旅の途中出たユタ州でトレランレースです。その後、仲間に誘われてハセツネに出たけど98年はリタイヤして、翌年99年にリベンジして2位になりました。
西:慶さんの初レースは?
桑:2011年に菅平のトレランレースの駅伝部門で5、6キロ走ったのが一番最初です。トレイル鳥羽ちゃんっていうチームを作ってて、そのメンバーが「これ出ようよ」って見つけてきた感じでした。
西:そこから距離を伸ばしていった感じですか?
桑:2011年にトレランを初めて、ちょこちょこレース出始めた秋に「Born to Run 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の走る民族」(クリストファー・マクドゥーガル著 NHK出版)を読んですごく面白かったんです。日本版編集者の松島倫明さんがon your markっていうウェブメディアの中で紹介されてるのを見て、そのウェブメディアを編集をしてた松田さんに「一度お会いしたいからセッティングしてよ」って話したんです。そしたらその飲み会で、松島さんと喋りたいのに初対面の山田洋(やまだひろし)って人がずっと喋ってて。最初は俺、松島さんと話したいんだけどなぁって思っていたら、その山田さんから「来年、UTMFがあるから僕は100マイルに出るけど、あなたはSTYってハーフ部門があるから出なよ」って。最初は、いきなり誘われて90キロのレースなんて無理無理って言ってたけど、レースの話を楽しそうにする山田さんを見ているうちにトレイルランナーのタフなメンタリティを魅力に感じてきて、ちょっとハードル高いけど、挑戦してみようかって気になってエントリーしました。それが地震で延期になった第一回目のUTMF/STY。その前に練習として3月に熊野の古道のレースに出ました。ちなみに山田洋は昨年のBAMBI100にこっそり出場していました。
西:弘樹さんの初100マイルは?
石:2002年のWestern States Endurance Raceです。アドベンチャーレースっていう複合競技の中では長い距離も走ってたんですけど、トレイルだけのレースはそれが初めてでした。その年の2月3月から武者修行的に毎週のようにアメリカに通ってレースに出てたんですよ。アドベンチャーレースやってるから走ることは大丈夫だろうというつもりで50キロ、50キロ、80キロとか連続で。そんなことをしてたら4月くらいに腸脛靭帯炎になっちゃって。そんなの知らないんですよ、なんだこれみたいな。あんまりトレーニングできないままレースの6月を迎えて。なんとかして24時間を切りたいなと思ってましたけど、足に豆ができたり、豆の中に豆ができて苦しみながらも、ギリギリ23時間40何分でゴールしました。
桑:24時間切りは、シルバーバックルですね。
石:スコット・ジュレクにも出会えて。
桑:7連覇中ですか?
石:その時が3勝目。その前に、50キロのレースでスタート前に彼を見つけて、レースで競い合う中で勝っちゃったんですよ。でも、100マイルでは7、8時間差をつけられて。100マイルは全然違うカテゴリーなんだなと思い知らされました。
西:慶さんの初100マイルは?
桑:2012年の秋にOSJ八ヶ岳スーパートレイルっていう地獄のようなレースがあって、それも山田洋にそそのかされて。でも100キロ地点で寒くて寒くて焚き火に吸い込まれて終了しました。次にチャレンジしたのが、2013年のUTMB。鏑木さんのチーム100マイルにも所属して、ラビットじゃなくて遅い方のトータスっていうカテゴリーですけど、半年くらいで結構成長しました。これでいけるぞってシャモニーに乗り込んだら、直前に気管支炎になっちゃって、呼吸もできなくなって30キロくらいでやめたんです。なかなか完走できなくて翌年2014年のUTMFで初めて完走しました。その時も50キロ地点でトレイルに空いてた大きな穴に足を突っ込んでひどい捻挫したんだけど、意地で完走しました。3戦目でようやく。
西:そんな戦歴を聞くと僕なんてまだまだ素人で、芸歴で言うとやっぱり、桑原“兄さん”と、弘樹“師匠”やなと。今回のDJの順番は、トレラン歴5年にも満たない僕がまず先陣を切らせて頂きますね。初100マイル去年ですから。師匠!
桑:お先に勉強させて頂きます!
石:下手なことできないじゃないですか(笑)
・音楽の初期体験
西:イベントの日が近づいてきたので、音をどう鳴らすか、システムを再チェックして、ご近所さんに迷惑にならないボリュームがどれくらいまでいけるか、ビビりながら確認しました。ターンテーブル二台とPCDJもあるから、ミキサーがいるなと思って実家にあった音楽やってた時のデジタルミキサーを引っ張り出してきて、20年ぶりに電源入れたけど、ちゃんと動きました。20年前の音楽も保存されてたので久々に聞いてブチ上がりしてました(笑)
石:ツマミが劣化してない?(笑)
西:大丈夫でした(笑)今回のイベントも全部録音できるんで。
西:慶さんの音楽好きはいつからですか?
桑:高校生くらいからいろいろ聴き出して、大学入ったときにちょうど日本語ラップのスチャダラパーやキングギドラ、大学の同級生に今メリージョイレコードをやってる肥後くんがいて、彼もトレイル鳥羽ちゃんのチームメイトなんですけど、彼の影響で日本語のヒップホップを聴き始めた結構大きかった。
西:マジで?!余談ですけど、アメリカで一緒にずっと音楽やってたLIVING LEGENDSの面々もメリージョイから作品出してますわ。
桑:社会人になってからもっと幅広く聴き出して、26歳で起業してフットサル場始めたんですけど、その前にバイトしてた時にそのフットサル場に毎週来てたのが、JAZZT SPORTのマサヤ君で。
西:ファンタジスタ!
桑:そこで仲良くなって彼のイベントへも行くようになって、JAZZY HIP HOPもジャズ寄りの曲もカッコよく掛けてて、その辺でまた幅が広がっていった感じです。
写真)adidasとコラボしたYEEZYでお馴染み、カニエウェストこと『Ye』。最近ではお騒がせな方ですが、超絶激渋のトラックメーカーであり、ラッパーでもある。
西:なるほど。もっと遡って、初めて買ったCDはなんですか?
桑:僕は中山美穂のシングルな気がします。
西:曲は?(笑)
桑:「ツイてるねノッてるね」(1986年8月リリース)だと思います。
石:僕は聖飢魔Ⅱのシングル(小教典)「蝋人形の館」(1986年4月リリース)。いとこの兄ちゃんに車で聴かせてもらって、デーモン小暮の声が小学生なりにカッコいいなと思いました。ユニークな歌詞でしたけど。
西:改めてチェックさせてもらいます。では初めて買った洋楽は?
桑:中三の時にダンス甲子園があって。そこで掛かってたのが、Heavy D & the Boyzの「Now that we found love」
西:間違いない!
桑:ナーゥ、ザーッ、ウィー、ファウン、ラブ、ワラ、ウィ、ゴナ、ドゥ~♪
西:あれはもうクラシックですね、当日掛けるんで踊ってくださいね(笑)
石:僕はレゲエのカバーがありますよ。
西:あのオリジナルは70年代のオージェイズの曲ですよね。弘樹さんの洋楽は?
石:僕はたぶんボン・ジョヴィだと思います。中学の時に読売クラブにいて、移動のバスの中で大音量で曲を掛けて、みんなでハイテンションで試合会場へ行ってました。中一か中二の頃。曲名が出て来ないですけど。
西:名曲が沢山ありますもんね。ちなみに僕が初めて買った邦楽はジギーの「グロリア」でした。
桑:月9のドラマの主題だったかな。
西:洋楽はウィルソンフィリップスのビーチボーイズの娘三人組の『HOLD ON』って曲です。youtubeはコチラ
石:それは僕の恋愛の歌です。高校の時付き合っていた女性が勧めてくれました。
西:めちゃくちゃいい曲ですよね。こういう話ななかな聞かれへんからね。
石:音楽とつながってますよね。昔の情景がよみがえってきます。
西:昔の恋愛を思い出しますよね(笑)
西:今でも音源買ってますか?
桑:あんまり買わなくなりましたね。spotifyに課金してるくらいで。PCDJはspotifyに対応してないんで、Apple Musicには別途入ろうと思ってます。
石:ほぼiTunesオンリーですけど、レコードは年に2、3枚は買ってますね。ヤフオクやメルカリで。
西:弘樹さんメルカリとか使うんですね(笑)
石:パタゴニアの古いやつとかも買ってますよ(笑)
西:愛がありますね(笑)初めて見た音楽のライブは何ですか?
石:幕張で見たレゲエのサンスプラッシュか、クリスマススプラッシュかな。屋内スキーができる場所で。
桑:それ(千葉県船橋市にあった)ザウスですね。
桑:ライブは肥後くんのイベントのお手伝いに行ったのが最初かな。さんピンCAMPの前でブッタブランドがちょうど日本に帰ってきた頃。まだメジャーデビュー全然前のリップスライムとか、KREVAがKICK THE CAN CREWの前にいたBY PHAR THE DOPESTとか、SOUL SCREAMとかが出てて、日本語ラップがアンダーグラウンドから盛り上がっていくぞみたいなライブかな。
*さんピンCAMP:日本のヒップホップシーンを語る上で外す事が出来ない最重要イベント。
西:慶さんは日本語ラップを結構知ってはるからいつも話盛り上がるんです。
石:濃いなあ(笑)それにアーティストと繋がってる感じなんですね。
桑:たまたま同じクラスだったとか、フットサル場に居合わせたっていうのが多いです。
石:西岡さんは?
西:中学の時にハマった、浜田省吾の“ON THE ROAD TOUR” だったような。笑
西:もし最前列のVIPシートを用意してもらえるなら、誰のライブが見たいですか?
石:ボブ・マーリーとか行きたいですけどね。マーヴィン・ゲイかな。最初に買ったレコードがマーヴィン・ゲイでした。
桑:ヒップホップじゃないですけど、ニルバーナのアンプラグドのライブがすごく好きで。あの現場の最前列には行ってみたいな。晩年の落ち着きというか、カート(・コバーン)の角の取れた感じもありつつ感慨深いライブです。
西:MTVアンプラグドの企画は、生なライブ感がして良いですよね。エリック・クラプトンのやつもカッコいいです。
・体が動き出す体験を
西:今回のオファーをもらった時、どう思われました?
桑:僕はDJの経験が全くないので、良い機会をもらったなと。50歳近くになって新しいこと始めることないし、気心知れた仲で良いチャンスをもらったなっていう感じです。
石:デカい音で掛けられるなって。イヤホンやヘッドホン、いつも聴いてるスピーカーじゃない音で、自分の好きな曲を掛けられるな、聴いてもらえんのかなってことを思いましたね。
西:よく引き受けて頂きました。今回どんなジャンルの音楽をプレイする予定ですか?
桑:初めてのDJなので、自分が過去に聴いてきて好きな曲をオールジャンルで。今思い出して聴き返してますけど、記憶に残ってる曲って今聴いてもいい曲だなって思います。プレイリストを作ったら5時間くらいになったんで(笑)そっから絞っていこうかと思ってます。
石:僕は90年代のダンスホールで、ラバーズが好きなんです。色んなジャンルのカバーものや、レゲエって人によっては全然知らないって思う人もいるかもしれないけど、この曲聴いたことがある、レゲエにしてもいい歌だなと思ってもらえたらいいなと思って、そんなのを中心に掛けようと思ってます。
西:入りやすいですからね。知った曲がレゲエのリズムになってると心地いいと思います。僕はヒップホップとジャズやソウルを二部構成なので分けてやろうかと思ったりしてます。ヒップホップにしたらミックスが難しいなと思ってちょっと焦ってます。
石:適当に好きな曲を持って行くので、雰囲気を見てって感じですかね。第二部のトリは西岡さんがやった方が良いですよ。
西:だめだめ。100マイル走ったのはまだ去年ですから(笑)師匠に締めてもらわんと。
石:レゲエを知らない人がいちばん多いんじゃないかって気がするんですけど。
桑:それを言ったら僕が掛けようと思ってるのも知らなそうなのがいっぱいあります。でもなんかいいね、ぐらいに思ってもらえれば。なんですかこの曲みたいになっても。
西:もしかしたら、ノートとペン持って来てくれてる人もいてるかもしれないし(笑)
桑:フットサル場やってた時には隣でカフェもやってて、そこにジャジスポとかクロマニヨン、スペシャルアザーズを呼んでライブやってたんですけど、両方楽しめる人ってそんなに数多くなくて。フットサルの人はフットサル、音楽好きな人は音楽、もちろん両方好きな人は「最高のイベントじゃん」ってなってくれるんですけどね。今回はトレランの人と音楽好きな人を結びつける機会になるかもしれないし、そうじゃない、普段音楽をそんなに聴かない人も、逆に全然気にしないで楽しんで欲しいです。曲を知ってる知らない関係無く、なんか良いね、知らなかったけど良いメロディだね、気持ちが良いねみたいな感じで肩肘張らず楽しんでもらえたら。
石:音楽好きは入り込んで楽しんでくれたら良いし、新しい分野の曲が耳から入って体が動き出す、揺れ出す体験をしてもらって、新しい世界を見つけてもらったらいいかなって思ってます。
西:では、今日はこの辺で。当日宜しくお願いします!
(ビデオチャット終了)
西:俺がいちばん楽しみやわ。石川弘樹のDJプレイなかなか見られへんから。どんな曲かけるんかなって。実現するのがうれしいですね。今回のタイトルは「RUN+MUSIC」ってみんな知ってるトレイルランニング雑誌「RUN+TRAIL」をオマージュして、敬意を払ってロゴも寄せてつつ、ちょっとアレンジして。鈴木編集長にもお墨付き頂いてます。
西:milestoneのスローガン「LIGHTING YOUR WAY」から「FEELING YOUR WAY」っていうサブタイトルを付けて。最初「LISTENING YOUR WAY」にしようかと思ったんやけど、前夜祭というか前日にランもあるので。毎月第三木曜に開催している「寺田町ジョギングクラブ」の番外編として6月29日土曜の夜にランニングもやります。
西:土曜のジョギングイベントは、お陰様でほぼ満員御礼ですが、日曜のイベントはまだ空きがあります。特にドレスコードもないし、気軽に軽いノリで友達を誘って遊びに来て欲しいですね!エントリーはコチラから→ https://moshicom.com/106702/
西:今後もっと音楽好きの人を巻き込んでいきたいし、こんなん出来るよとか、こんなん良いんちゃうっていうのを教えてくれたら。もちろんブラックミュージックじゃなくても。いつかどこか野外でも出来たらええなと思うし。山を走って音楽が流れてて、ビール飲んで皆んなが、わいわいガヤガヤできるようなGOOD VIBES ONLYな空間ができたらなんて。
萩:それは最高ですね!
吉:トレイルランニングをみんな一生懸命取り組んでるけど、音楽っていう別の切り口に変えると、そこがフラットになるのが面白いなと思ってて。寺田町ジョギングクラブでも、好きな食べ物や別の趣味の話をすると、みんなの関係が一旦リセットされるのが良いなと思ってます。
西:もしかしたら音楽好きな人がトレイルやランニングに興味を持ってくれることだってあるかもしれないし。面白いことを継続してたら、きっと賛同したい人も出て来ると思うで、好評なら来年もやりたいと思ってるし。
吉:milestone TARADACHOでお待ちしてます。
西:それでは今日はこの辺で。
西・吉・萩:さよなら、さよなら、さよなら。
今回は、月末のmilestone TARADACHO 1周年記念イベント「RUN+MUSIC」のスぺシャルゲストお二人の話を聞かせてもらいました。音楽体験とトレイルランニングについて、他では聞けそうにない話が沢山出て来ましたね。
トレイルランニングを始めた頃、まず手に取ったのが石川弘樹著「トレイルランニングを楽しむ」(地球丸)でした。そして実際に体験したのは、石川さんが開かれていたワークショップでした。まさかこんな日が来ようとは。
そう言えば、milestone TARADACHO店長 吉田氏もその昔、ドレッドヘアのバンドマンだったとか。
続きは、寺田町でゆっくりと。
文・構成/萩原 健