第7回:おしえて!マイルスト〜ン「Gって何のG?」後編
2023/07/27 UP | POSTED BY milestone
・Gシリーズとハイカー
H:用途としては、トレイルランナーよりハイカー向けですかね。
Y:トレランレースなら、50キロとか80キロとかのレースで、夕方から夜間3時間だけ制限時間に対してかかりそうなら、ザックに入れておくのに50g弱だし良いかな。Gシリーズと比べると、やっぱりMS-i1は重いんで。
N:普段の練習用として、街灯の少ない道での夜間ランニングには最適かと。
写真: Sayaxx
Y:街中のランならMS-G2がオススメです。照射距離は街灯のある街中ではそんなに必要ないので。
H:頭じゃなくて、腰でも使えますよね。
Y:やっぱりキャンプやハイクの支持があると感じてて。MS-G2使ってるよとか、peg.のマサル君(ハイカーが集まる大阪は海老江のカフェバー店主)はMS-G1をアメリカのロングトレイル歩く時に使ってたと聞いてます。
左→右:中川さん、池ちゃん、マサル君。
H:憧れのロングトレイルですね。ULハイク。
Y:ウルトラライトハイキングは、元々はアメリカのロングトレイルを何か月も掛けて歩くために、ザックの荷物をできるだけ軽量化するハイキングのスタイルですけど。自分にとって必要な装備を見極めて、ギリギリまで削って山へ行くのは、ファストパッキングやトレランスタイルの山行も、考え方は近いですよね。
N:もちろん山へは安全に行くべきだけど、トレランでは、そもそも身軽でないと走れないし。機動力が高いことがリスクマネジメントだったりもするしね。
Y:そんなULスタイルにも超軽量なGシリーズはすごく相性が良いと思う。山と道 京都のリョウ君とか
写真:リョウ君。
ジョージさんは、カタログ表記のグラム数をめっちゃ見てて、ページによって、48gの表記と28gのあるところがあるんですけど?と言われて。すごい見てくれてはるなと。
写真:左→右 ジョージ君。ベーヤン君。
N:48gというのはベルトの重さ込みで。昔は28gっていうふうに言ってて、28gから約50gに増えてアレ?って言う声もあったんやけど、28gの時代はベルトを含めてなかった。今は全部ひっくるめての重量を表記してます。
H:ならではの目線ですね。
N:表記が違ったのは何故かというと、ベルトなしでクリップを装着しても使えるから。
Y:まさに今、アメリカのCDT(Continental Divide Trail:メキシコとカナダの間の5,000キロに及ぶ国立自然歩道。スルーハイクには約6ヶ月掛かる)を歩いてる山と道のジュンキ君は、クリップで行くって言うてはりました。MS-G4を持って行ってくれてます。
*京都にてナイトハイクした際の写真:ジュンキくん aka JK。
N:こうしてキャップのつばに付けられます。
ツバ裏から見るとこんな感じ。
トレランはぶらんぶらんするから無理やけど、ハイクなら全然あり。クリップがあると用途は広がるよね。ザックのショルダーハーネスとか。うちでは、息子の耳かきで使ってるけど。
Y:家でもすぐライト出てくる。さすが、ライト兄弟(笑)
H:飛行機じゃなくて、光る方のね(笑)
Y:クリップをなくしちゃった方は、milestone TERADACHOへ来てもらえれば660円(税込)で販売します。
H:日帰り登山でもライトは必携と言われますけど、この重さとコンパクトさは邪魔にならないですよね。
N:ユーザーフレンドリーやね。
Y:このMS-G3、G4ってハイク文脈の面白い皆さんと、僕たちを繋げてくれたモデルだなと思ってて、マサル君もアリゾナ・トレイル(メキシコ国境からユタ州境までアリゾナ州を縦断する1,300キロのロングトレイル)で使ってくれたし。
*注釈)マサルくんのインスタから @masama43
山と道のメンバーも発売を楽しみにしてくれてました。ジョージさんもいつ出るん?て。
N:嬉しいな。
Y:最初は、peg.でやってる「ハイカーナイト」ってイベントに僕が行ったんですよ。その時に、バーをやってるマサル君と、山と道のジュンキ君とも知り合って。今度山に遊びに行こうって、山と道 京都のメンバーと。
ULハイクやってる人でもグラム数は見てても、ヘッドランプに特化して機能を突き詰めたことはないから、是非商品の説明をして欲しいってことで。試しにナイトハイクして山で宴会して。今度は夜ヘッドランプ使ってキャンプして、翌朝エクストリーム出勤しましょうとか。その時にMS-G3、MS-G4のデモ機を使ってもらいました。
・一時的負荷
H:そういえば、第1回「おし!マイ」で、3月くらいに発売って書いてしまってたんですけど。
N:そうなんよ。“これでいこう!”って工場にGO出したんやけど、やっぱり思い直して納得のいくように修正してもらった。というのが、充電しながら点灯できるっていうのは、milestoneとしては初めての試みやったわけね。点灯中に長押しすると明るさは最小で5%まで絞れる。つまり420ルーメンの5%は21ルーメン。はじめの設定では、充電しながら点灯できる明るさは21ルーメンだったわけ。でも21ルーメンで山へ行くと、ほんまに力不足というか、光量が足りなくて使い物にならへんかった。
充電中の入力と出力のバランスで、、、例えば20%にすると出力が大き過ぎて入力が追いつかないわけ。そこをせめぎ合って落ち着いたのが10%。でも間違いなく変更して良かったと思う。だだ、最後にひっくり返したがために、基盤設計を一からやり直し、発売が数ヶ月遅れました。
N:もうこれでいくって言ってましたやん!って言われながら、やっぱり違うわってガーッひっくり返して(笑)
Y:有名な「修ちゃんのちゃぶ台返し」(笑) 西岡さんと一緒に仕事をしてる人からしたら、あーいつものやつね、っていう。
N:費用もかかれば、時間も掛かるんやけど、でも納得してないもの出すよりは、やっぱりテストを重ねて、遅れても納得いくものを作りたいから。
Y:短期的には、まわりに負荷掛けてしまうんですけど、長い目で見ると、やっぱり工場側もしっかり売れてほしいし、良いものを作るためであって、お互い絶対良い方向に行ってるはずやから、よく考えたらそっちの方がいいですねって理解してもらって。
N:我々と工場との間だけじゃなく、小売店さんとの間もそうで、発売は遅れたけど、良いものができたってことは、小売店さんにとっても売れる商品になるだろうと信じてるから、ひっくり返して良かったなと思ってる。今自分たちができる最大限のことをやってるって感じかな。
実は、充電しながら使えた方がええんちゃう?って、MS‐G1を出したときに、一番最初に言ってくれたのがRUN BOYS!RUN GIRLS!(東京のトレランショップの草分け的お店)の桑原慶さん。
ほんまや!って思い、それできたらいいなってずっと頭にあって。工場に出来へんかな?ってずっと言うてて。そして今回それが実現したわけで。だからMS-G3、MS-G4を見てもらった際「できたねー!」って言うてくれたのがほんま嬉しかった。
海外メーカーだと本国までなかなか声が届きにくいと思うけど、俺らはみんなの意見を聞いて、それを形にしてるから。だから慶さんも自分が言ったことを形にしてくれたって思ってくれてるんじゃないかな。
Y:ちなみにこの最小光量(5%)でもテン場ならめっちゃいいですよ。逆に明る過ぎるのは要らないので。MSB-002ランタンシェードを使う場合は5%の光量で充分だったりします。
・MS-G2の裏モード
N:ベルトは毎回シリーズごとにデザインを変えていて、今回はカリフォルニアのオレゴン辺りの針葉樹の森をイメージしてて。
ちなみにMS-G2は葉っぱのデザインです。黒っていうカラーも鉄板やね。
N:実は、MS-G2の開発中に、「こんなん絶対売れるか!充電なくなったらどうする?点かないヘッデンなんてお荷物やわ。絶対カパッて開けてバッテリーをパコって入れられる方がいい、こんなん使われへんわ」って工場と言い合いしたんやけど。工場からは一回やってみろって言われて。すいません、工場の言う通りでした(笑)って思い出がある。
Y:(笑)
N:いちばん明るくしてて2時間っていうのは、600mAというバッテリーの容量が決まってるから。もっと大きい容量にすればもっとヘッドランプの本体がデカくなるわけで、重くなるやんか。それは好まない人が多いし。2時間でもいいから朝方や夕方にちょっと照射したいという人もいるから。MS-G2は値段とのバランスがほんまに良い。
Y:赤点滅は、走ってるときに背面につけて、車からの視認性を上げる場合にも使えますよね、クリップで。点滅なら6時間くらいですかね。
N:知ってた?MS-G2の赤点滅に裏モードがあるの。SOSモード。誰にも言うてないんやけど。
H:それ大事な情報。言うてくださいよ(笑)
N:赤点滅してる時に長押しすると、モールス信号の「トントントン、ツーツーツー、トントントン」って光り方をする
Y:知らんかった!
N:あんまり言うてないんやけど、MS-G2だけ。今、確認したけど、取説にも書いてないわ(笑)ちなみに、MS-G3とMS-G4には点滅はなくて、赤色で長押しすると明るさの調整が出来ます。
Y:それもめっちゃいいですよね。諸説あるけど、赤い光は虫には見えないっていうじゃないですか。夏場はライトに虫が集まってくるので。
N:虫だけじゃちゃうで。うちは釣具も作ってるやん、釣具メーカーやから。赤は魚に気づかれない。
H :Dark Roomで赤色も試せますかね?
N:存分に。虫も魚もおらんけど。
Y:魚を釣ったり、虫取りしたり、店内ではそういうアトラクションはやっておりません(笑)
今回は、ハイカーにも人気のヘッドランプMS-Gシリーズのお話でした。充電しながら使えるMS-G3とMS-G4は魅力的で、どちらにしようか迷うところ。さらにMS-G2の機能も捨てがたい。使うシーンを思い浮かべながら、milestone TERADACHOのDark Roomで見え方の違いを確かめに行きたいです。悩みながら、ついうっかり、W-IPA(9%)のビールを飲んで長居してしまいそうですけど。(店舗限定クラフトビール:箕面ビール× milestone)
次回もお楽しみに。
文・構成/萩原 健