この連載は、milestoneについてのアレコレを、三人(西岡・吉田・ハルカ)に(#水曜ぶどう坂練 で出会った)ライターの萩原が聞いて深堀りする、架空のポッドキャスト番組です。

残暑はまだまだ厳しそうです。さて今月は?

 

・フラッグシップモデルの新型ヘッドランプ


西岡(以下、西):今月は新アイテムを二つご紹介します!

吉田(以下、吉):まずは、新型ヘッドランプから。

大森(以下、遥):正式名称は『MS-i2 “エンデュランス・プロ”』です。

萩原(以下、萩):プロ?!

西:はい。何がプロなのかというと、ロングレースではすっかりお馴染みになった『MS-i1“エンデュランスモデル”』のアップグレード版なんです。アップグレードされたポイントは、まず、明るさ。1,100ルーメンになってます。

遥:MS-i1では1,000ルーメンでした。

西:MS-i1が電球色二灯と白色二灯を掛け合わせて自然光を演出していたのに対して、今回は四灯とも自然光的な明かり(ナチュラルウォームカラー)になっています。

萩:それはなぜですか?

西:変更することで、LEDそのものが高輝度に明るくなっているのと、照射効率が上がってバッテリーを長持ちさせるためでもあります。

吉:霧でガスった時にも有効なのは、これまで通りです。

西:次に、バッテリーの容量が大きくなりました。これまでのバッテリー『MS-LB3』は3,400mAh(ミリアンペアアワー)だったのに対し、『MS-LB4』は5,000mAhになっています。

遥:一番明るい1,100ルーメンで、なんと10時間持ちます。一番暗いロー(100ルーメン)で76時間。

吉:ちなみにMS-i1の場合、一番明るいと7.5時間。一番暗い65ルーメンで53時間でした。

萩:MS-i1は自動的に明るさが落ちていくけど、MS-i2も同じですか?

西:同じ設計です。無駄に照らさないよう2分間掛けて徐々に明るさを絞っていきます。

遥:明るさとバッテリーの持ち時間については、MS-i1でミドル260ルーメン(11時間)がMS-i2で350ルーメン(19時間)に。ハイは480ルーメン(8時間)が730ルーメン(12時間)になっています。

西:そして、バッテリーに関して今回の一番良いところは、従来のMS-LB3バッテリーもMS-i2で使えるようになっています。”スペーサー”というアルミのキャップを使うことで、上手くはまるようになっています。これが最大のポイントだと思ってます。

吉:トレランレースに出る時には必携装備として、ヘッドランプの予備バッテリーが要りまよすよね。MS-i1を使われてた方は予備含め2本持ってはるはずなので、それを使えば、予備用としてMS-LB4をもう1本買わなくても済むというユーザーフレンドリーな設計になっています。

萩:それは有難いですね。

吉:バッテリーの重さでいうと、MS-LB3が50gだったのに対して、MS-LB4が79gになるので1.6倍になります。

西:長時間バッテリーが持つようになるのは、もちろんメリットなんですけど、同時に重くなってしまうと、トレイルランニングのロングレースでは、デメリットですよね。じゃあフィット感を上げることで揺れを感じ難くしようと、ベルトの形状を変更しました。後ろの部分がベルトではなくバンジーコードで瞬時に縛れるので、より頭にぴったりフィットします。

遥:こちらは、”クイックアジャストバンド”という名前が付いています。

西:実は、バンド部分の素材も変えました。後ろで絞るとMS-i1と同じバンドだとかなり伸びてしまうんです。ロゴも伸びて。

遥:「まぁ~いる・すとぉ~ん」みたいになるんです。

萩:なるほど(笑)伸びない素材になってるんですね。後ろのバッテリーの台座も大きくなってますね。

西:安定感が出るようにね。締めても痛くないように、前側のおでこに当たる部分にもクッション材を入れてます。

吉:MS-i1はかなりロングセラーのアイテムなんですけど、フラッグシップモデルは常により良く、より明るくより長くでありたいと思ってるんです。技術革新で電池が軽くなったりしてくれないかなと思ってたんですけど、なかなかそこは今のところ変化がなくて。それはウチだけじゃなくて、5,000mAhならこの重さっていうのは世界中同じなんですよね。MS-i1の形でバッテリーだけ5,000mAhを積むと、後ろが重くなってしまうので、製品化まで四年、五年と掛かってしまったのは、そこのバランスを取るのに苦労して試行錯誤を重ねてました。バンドでなくコードにしているのは少しでも軽量化するためでもあるんです。

西:5,000mAhあるとモバイルバッテリーとしても充分で、スマホもしっかり充電できるかと。

遥:充電中のインジケーターの色はこれまで通り、赤が緑に変わると充電完了ですが、給電中は青になります。容量切れになると消灯します。

西:MS-i1を発売してからもう四年が経つので、満を持してという形ですね。MS-i1は思った以上に受け入れられたので本当に有難いです。

吉:ち・な・み・に・MS-i1は今後も、継続販売します。

遥:ただ、配信日8月25日にこのコラムを読まれている方で、まだMS-i1を持ってないという方は、今すぐ買ってください! 

萩:というと?

遥:9月1日から値上がりしてしまうんです。12,980円(税込)が15,400円(税込)に。

西:今、リチウム電池の価格が高騰してるんです。円安や作業工賃が上がってるのもあるんですけど、苦渋の決断ですが、MS-i1、MS-LB3の他、リチウム電池を搭載しているモデルは値上げせざるを得ない状況なんです。

西:MS-i2の方は当初の予定通り19,800円(税込)となっております。

萩:カタログ表記から変更なしですね。確認ですけどバッテリー込みの価格ですか?

西:込みでございます。

萩:MS-i1ユーザーからひとつ希望なんですけど、RUSH Light 2.0をセット販売してますけど、別売りになったりしませんか?MS-i2と併せて、片方をコシヒカリとして使うために。

吉:別売りにしてないのには、すごく悲しい過去があるんです。RUSH Light 1.0の時は別売りをしてました。そしたら、PAAGOWORKSさんとmilestoneとのコラボアイテムなんですけど、他社メーカーのライトを付けてる人をちょいちょい見掛けることがあって。

西:当時、単品はPAAGOWORKSさんで販売、ウチではヘッドランプとセット販売してたんです。そんな過去があってウチとしては悲しいので、RUSH Light 2.0は、ウチのみで全てをセット販売させてもらいたいと言いに行って、了解してもらったという経緯があるんです。

萩:なるほど。それなら、MS-i2版のRUSH Lightが欲しいですね。

遥:鋭意開発中でございます!

吉:頭は今まで通りMS-i1で、コシヒカリはMS-i2。あるいはその逆もありですね。

遥:より高みを目指す方に、より長いレース、長期縦走のようなチャレンジをしようとしている方を支えられればと思います。

西:プロ仕様になってますから。まもなく始まるUTMB(ウルトラ・トレイル・デュ・モンブラン)で小原(将寿)君が付けて走ってくれるようです。あと、土井さんとPV(プロモーションビデオ)の撮影に行ってきましたよ。

西:とても疾走感のある動画になっており、さすが土井さんって仕上がりになっています。こちらは近日公開予定。

遥:Kaga Spa Trail 2026では川崎雄哉選手が、これを付けて優勝されたのも記憶に新しいです。

西:8月29日(土)発売開始です。是非お近くのお店でチェックして頂けたら。今週はこの辺かな。

遥:ちょっと待ったー!新しいアパレルアイテムもありますよ!



・クラウドの兄弟



吉:どうも、アパレル担当の吉田です。Cloud Half-Zipが出来上がりました。

萩:Cloud Hoodyのフード無し、いわば弟分ですね。

吉:これをずっと作りたかったんですよね。最初、クラウドフーディを作ってる時に、裸に一枚で着てテストを繰り返してたんです。

萩:第12回「雲をカタチに」で聞いたのを覚えてます。動き続けられる保温着、アクティブインサレーションについてや「クラウド」の由来を教えてもらいました。

吉:その時から出来るだけ着たままのものを作りたかったので、僕はハーフジップを推してたんです。

萩:着たまま、とは?

吉:脱ぎ着せずに、着っぱなしで動き続けられるっていう意味です。過去回でもお話したと思いますけど、クラウドの素材であるポーラテック社のアルファ・ダイレクトには、「60」「90」「120」の三段階の厚みがあるんです。正直「120」は動き続けるには分厚過ぎると思ってて。クラウドフーディは「90」の厚みなんです。西岡さんは脱ぎ着したいから、フルジップの方が需要があるって言うんです。じゃあせめて、下からも開けられるようにダブルジップにしました。

西:フルジップにすると重くなると反対されて。アクティブに使うならハーフジップでも良いけど、このアイテムは普段着にも着れると思ったからフルジップに最終的にしたんです。

吉:もう一つ、ポケットも付けたいと西岡さんが言うて。それも初めは反対したんやけど、使い勝手がそっちの方が良いと。スウェットパーカーの軽い版みたいな羽織りのものをイメージして。結果そういうものとして出したんです。

西:グリッド生地をマッピングして、ウォッチウィンドウやサムホールも付けて。

吉:ポーラテック社のアルファという素材は大人気で、各社アウトドアメーカーがやってるんですけど、結果的にはオリジナリティが出たと思います。

西:クラウドフーディが認知されたからこその、次の尖ったアイテムになったかな。

吉:雪が降るくらい寒い時はいいんですけど、それ以外なら個人的にはちょっと暑いかなっていうのもあって。次は「60」で本当に着続けられるものを作ろうと。

遥:インサレーションというよりは、ベースレイヤーに近いものですよね。

吉:これは素肌に着てもらいたいんです。西岡さんは裸には着んやろと言ってたんですけど、今年五月に白山に登った時は、登山口の15度くらいあったところから、山頂の残雪が沢山残っているところでもこれ一枚で着っぱなしでいけました。

西:そこでテストしてホンマに良かったから、これでイケると思ったかな。

吉:ハーフジップって、いかにもインナーっぽいものがありますよね。身幅が細くてスキーする時に中に着るような。そうならないように、首回りに余裕を持たせつつ、襟が高いと使いにくいので低めにしてます。ジッパーもみぞおちのところまで開けられるように長くして換気もできるという結構細かい配慮をしてます。お兄さんのクラウドフーディとはまた違った使い方ができる弟に仕上がっています。

萩:形も機能としても使い勝手が良さそうだし、少し気温が下がり始めたらすぐに着れそうですね。

西:気になるお値段はフーディの23,100円(税込)に対して、16,500円(税込)とだいぶお値頃価格になったかと。

吉:ひとつだけ気になってることがあって。これって年に一回しか作れないんですよ。生地の色も別注で、ポーラテック社をからめて生産しているので、めっちゃ時間が掛かるんです。けど、”milestoneあるある”なんですけど、初めて作るアイテムはそんなに量をドカンと作らずに様子を伺うんです。でもこの機能で価格も良心的なので、ほとんど専門店さんの方へ行っちゃって、ウチの在庫があまり無いんです。それが本当に心配(笑)このコラムが25日に配信されて、九月の頭から発売になるので、できたらすぐにカートに入れて欲しいです(笑)

吉:6月に発売したFast Tail Shortsは予想通り、早速売り切れて、先日再入荷しました。こちらは国内生産なので増産の対応も可能なんですけど、Cloud兄弟は無くなると一年後まで無いので。

遥:カラーはチャコールとマロンの二色です。

萩:どちらも良い色なので迷いどころですね。チャコールは、ただのグレーじゃなくてほんの少しだけグリーン味が入ってますか?

西:入ってるね。好きやわ(笑)

遥:マロンはプードルみたいでかわいいです。

萩:モコモコ感と合ってますね。襟の高さも絶妙。milestoneらしい斜めのジッパーは、これまでの他のアイテムとは角度が違いますよね。

吉:ラグランの袖の切り替えがあるので、それ以上外側にずらせなかったり、そこは何度も調整を重ねました。

遥:女性はなかなか一枚では着にくいので、Tシャツなんか着てもらえると。

吉:風があるときはウィンドシェルを上に着てもらえば、ぬくいですし。

遥:11月のOMM JAPANにも良さそうですよね。石舞台100とかKYOTO GREAT ROUNDなど冬のトレランレースにも。

吉:めっちゃいいと思う。

萩:藪漕ぎするときだけは、注意が必要ですね。枝に引っかかると大変なので。

吉:UTMBの必携装備リストのインサレーションとしては軽過ぎて、180g以上という基準を満たせないです。クラウドフーディなら大丈夫なんですけど。

萩:MB(モンブラン)の場合ですね。

吉:それ以外のレースならMt.FUJI100も大丈夫です。アクティビティのために作っているので、裾の後ろが長いのはザックを背負うことを想定してますし、そこはフーディを踏襲しています。

遥:先月の分水嶺トレイルでも大活躍しましたよね。

吉:真夏なので昼間使うことはないんですけど、夜に寝るときに、素肌の上にクラウドを着て、その上に昼間の汗でビショビショになったウェアを着ておくと、気化熱で朝起きたらパリッと乾いてます。

遥:夜の防寒用としてCloud Half-Zipを持っていったんですけど、雨で濡れたものを上に着ておくと乾いたので、翌日寒い思いをせずに着ることができました。

萩:体と濡れたウェアとの間に暖かい空気の層ができるのが良いんでしょうね。

遥:寒さが待ち遠しいです。

西:それでは、今月はこの辺で、さよなら。

吉:さよなら。

遥・萩:さよなら。

今回は、新しく登場した最上位機種のヘッドランプ、そしてこれからの季節に活躍するクラウドの兄弟アイテムについて教えてもらいました。どちらもこれまでのアイテムのアップデート版のように聞こえますが、実際には活動の質や動き方を変えてしまう画期的なプロダクトでした。どんな着方、使い方をしようか、今から楽しみです。

この夏は登るというよりも、谷底を歩き回って来ました。釣り目的の山行でしたが、自分のような初心者は、釣り糸を垂らせば釣れるというわけではありません。竿を振り回せば枝に引っかけ、奪われた毛鉤を結び直すことが幾度も。しかし、それこそが貴重な時間でした。縦走登山となると山頂を目指し、テン場の到着時間を気にしながら、休憩は補給と写真撮影だけで動き出しがち。岩に腰掛けて、今だけの景色を味わう。岩の手触り、水面の反射としぶきを上げる水流の音。新しいアクティビティを始めたことで見つけた、豊かな時間の過ごし方でした。

念のため断っておくと、決して釣れなかった負け惜しみではないですから。

それでは、また。来月には涼しくなっていることを祈りつつ。


文・構成/萩原 健