第3回:おしえて!マイルスト〜ン「ホワット・イズ・ナッティ?」(後編)
2023/03/28 UP | POSTED BY milestone
新色「2.0」
Y:帽子の話(第二回)でもありましたけど、西岡さんは気持ち込めて、お腹を痛めて生んだ子やから、基本的に一度作ったらアイテムをずっと売りたいんですよ。細かいアップデートはするかもしれませんけど。
Y:自分はアパレル出身なので、大手のブランドもそうですけど、春夏と秋冬のシーズンがあって、定番モデルや黒とかの定番色はそのままでも、他はシーズンによってカラー展開を変えてるんですよね。
Y:どのアパレルのアウトドアブランドも。当然、黒は残すとして、他の2色は変えますよね、って話をしたら「嫌や、全部気に入ってるから、全部変えたくない」っていうわけですよ。いやいや、ちょっと待って、新しい色、今度GWくらいにナッティの新色出すんですけど、何色やるつもりですかって訊いたら「新しいの3色くらいはやりたい」と。6色になりますよ、ちょっと待って。パンツでそんないきなり6色展開って大手でもないでっせ、いうて。結局これまでの3色も残して、新色3色やると。
N:その3色が何かっていうと、同じものではなくて、生地は一緒やけど、しわ加工がされてる。実際の重さは一緒なんやけど、フワッと軽く見える生地。
H:もともと光沢感がある訳じゃなかったけど、更にマットな質感ですね。
N:名前は「ナッティショーツ2.0」で。何がアップデートされてるかというと値段だけ(笑)しわ加工の500円だけ上げさせてもらってる。
※2023年4月下旬発売予定
Y:明るくて淡い感じで。
N:これまでが、キツネブラウン、スミブラック、ヨモギグリーンやから、新色も日本名で、ワサビグリーン、キナコベージュ、カモシカグレー。
Y:西岡さんが「カモシカ」をなかなか覚えてくれなくて(笑)
N:グレーで悩んでた時に「カモシカ」って言われて顔がすぐに浮かばなくて。カモシカのような足っていうけど、カモシカの足めっちゃ太いで。
H:山に生息してますもんね(笑)天然記念物でしたっけ。
N:色のバリエーションがあることで、ランニングのウェアやけど、ファッション要素も入れたいと思ってて。上から下まで揃えて買ってくれる人もいるし。
N:今日なんか、フラミンゴ色のTシャツにアッシュグレーの靴下(つま先とかかとがピンク色)を合わせて買ってくれてて「合ってるや~ん」と思いながら出荷してた(笑)。ブラウンブラウン(MSC-013)のキャップにマスタードのTシャツ梱包しながら「合うよね~」とか。ほんまに嬉しいねん。
さらに、ロングが登場
Y:その前にナッティロングが出ます。※2023年4月上旬発売予定
N:初めてのロングパンツやから生産が少し遅れてて(汗)でも納得いくもの作りたいから妥協はせずに進めてるから。シーズン的には少し遅れるけど、自分的にはオールシーズン使えるものとして捉えてるねん。だからこれからでもレース前後とかに穿いてもらいたい。まだ朝晩寒いしね。
N:サンプル段階では、足首にファスナー、腿にベンチレーションを付けてたんやけど。
Y:しかも、ファーストサンプルは前ポケットなしだったんですよ。ロングパンツを穿く環境で前ポケないのは恐ろしく不便で、フィールドテストした結果、「やっぱり要るわ」って実感しましたね。
N:前ポケ追加はめっちゃ複雑で工場泣かせ。ナッティやから同じシリーズとして後ろポケットのパーツは絶対残したかったし、一回目のサンプルは、シルエット重視やったから、すごくスリムでテーパードが効いてて。穿いたら、トレイルランナーはふくらはぎが発達してるから、パツパツで(笑)
Y:ふくらはぎが太い人は多いですよね。
N:それで太くして。あと内側にファスナー付けた方が、レース前とか着脱に便利かなと思ってたけど、走ってたら、当たったら痛いし、要らんなと。テストして意見もみんなに聴きながら、こういう形になったかな。穿きやすいと思うよ。
H:お尻がぴちっとしてないシルエットが良いです。後ろにポケットがあるからなんでしょうけど。
Y:ナッティは横にも余裕があるので、その感じをうまくロングに落とし込めたかな。細身に見えるけど、腰回りはゆったりになってます。あと、ショーツの股の部分は、色の切り替えがありますけど、ロングもアクセントカラーとして残そうと思ってたんやけど、こうなってしまって。(写真参照)
N:これは、なんかまずいなと。なかなかこんな恰好する機会ないけど(笑)口が開いたみたいになってしまって、ちゃうなって。同じ色の方が穿きやすいかなと。
H:色の切り替えなしで、スポーティさが抑えられましたね。
Y:ロゴ色も最終マットな黒色になります。ショーツはシルバーでスポーティでしたけど、ロングは落ち着いた感じで。
N:新製品見てもらってたら、営業先で言われて。「めっちゃいいけど、ロゴ色が生地と同じ色やったら」って、同じ日に2軒で言われて。すぐ変えようと思って、やってくれてるとこに連絡してロゴ色変えますって。
H:さらに普段履きしやすそう。
N:お客さんが言ってくれて、自分が納得できることなら変えようと思って。これでいくって意見を持ってる時はそれで行くけど。あ、ほんまや、って時は全然変えようと思ってる。常に色んな意見を聞きたいから。自分が絶対やと思わへんし。こだわりあるとこはあるけど、確かになっていうときは全然採用させてもらう。
milestoneらしさ
N:ネーミングについては、milestoneのSpotifyプレイリストを作成してるほど、音楽が大好きで、そこから来てるんやけど。どうやったっけ、いきさつ覚えてる?
Y:西岡さんから、一から商品を生み出していった時に、商品名を覚えてもらえる名前にしたい。ただの5インチのランニングショーツとかではなく、001とかの品番だけでもなくて。何かないかなって走りながら二人で話してるときに、milestoneらしさ、西岡修平といえば音楽でしょ。だから名曲とか名盤とかに引っ掛けたら「らしい」んちゃいますかね?って言う話をした覚えがあります。「それええやん」って。で、今回はボブ・マーリーっていう感じですね。
(H:この「西岡修平といえば音楽」の話もまた、おしえて!ほしいですね。)
N:ナッティーは本当に良かったと思う。「スタイリッシュな」とか「ナチュラルな」とか意味もすごく良いし。ビビッときた。名前の響き、サウンドも。
Y:また話すると思うんですけど、「オニオンフィーディ」は意外と最初は西岡さんにウケ良くなかったんですよ。
N:そうやったっけ?
Y:自分で色々案だしてるから、その時の西岡さんのリアクションは結構覚えてて。ナッティはバチンと来たんですけど。でもちょっと待って、意味もうちょっと調べてみるわって調べたら、「本物の」みたいな意味入ってるわ、最高やんって。
Y:オニオンは自分はめっちゃいいと思って勧めてるけど。オニオン?玉ねぎ?みたいな。
N:普通そうなるよ。今となればオニオンで通ってるけど、
Y:まあまあ、ええんちゃう~?くらいでした。
N:両方ともヨッシーが名付け親で。その時はまだ社員じゃなかったけど。
H:結局、出来上がるまで、構想からどれくらい掛かってます?
N:一年くらいは掛かってると思う。
Y:西岡さんが、まだ友達として一緒に走ってる時に、「ランニングショーツをイチから作りたいねん」て聞いた時、まじで?これ結構どえらい沼に入るなって思った記憶があります。それもあって、早々にパタンナーJさんに協力してもらう体制を築いとかんとやばいなと。西岡さんが何回目かのサンプル上げた時に、「ほんまパターンやばいわ」っていうてはったのを覚えてます。
N:Tシャツは既にあるボディにプリントしてコラボさせてもらったり、靴下も靴下メーカーさんにやってもらってたけど、パンツ作るってほんま難しかった。ほんまよく言われたのは「これどこで作ってるんですか」「どこかのメーカーのOEMでしょ」って、最初。
Y:たしかに今までのアイテムの流れを見てたらそうですよね。
N:「そうじゃないんですよ、一からなんです」って言えたし。縫製は九州の工場なんやけど、自分とこのやってくれてる工場は絶対見たくて。どんな人が作ってくれてるのか、逆にどんな人が注文してるのかを作ってくれてる人にもわかってほしいから。今後ムリ言う時もあるかもしれへんけど、その時に顔が浮かんで欲しいなって。量産してるところを見たかったし、写真も動画も撮りたくて。イメージ動画は熊本の阿蘇で撮ってるんやけど。
Y:作ってる場所の九州の山でイメージ動画撮ってるのも良いですね。オニオンは北海道で縫ってるから北海道の山で撮って。
N:これからも、できれば国内で作りたいね。
Y:で、最終的に出来上がったものを穿いて、「くろんど輪舞曲(ろんど)2022」の90㎞に出走した時、携帯落としてませんでしたっけ?
N:これで大丈夫や、行ってくるわ!いうてファスナー締め忘れてて、ポロンと落ちて。「ちょっとちょっと!落ちてるよ!」ってみんなに止められた(笑)気付かずに走り出してたわ。チャックは締めなあかんな。
H:そのオチは、載せん方がええんちゃいますか(笑)
一からはじめる新商品開発の話、深かったですねぇ。どれくらいかっていうと、ウインドシェルがすっぽり入るくらい。ナッティショーツは、ロードでもトレイルでも穿いてますけど、足上げが気になるとか、モノ落とした、とか(笑)気になる所が無いのが良さかなと感じてます。新色も何色にしようかと今から悩んでしまいます。
ヘッドランプと同じように、アパレルアイテムも使ってなんぼのあくまでギアであり道具。でも、話の中にあったように、機能としてはランニングに特化していても、見た目はそう見せないっていうのはブランドコンセプトの一つなのかも、と勝手に感じました。
さて、次回はどんな話が聞けるのか。お楽しみに。
文・構成/萩原 健