第10回:おしえて!マイルスト~ン「山で”はやく”動くなら」前編

2023/10/25 UP | POSTED BY milestone

この連載は、milestoneのアイテムを作ってきた人(ファウンダー西岡)と使ってきた人(中途入社の吉田)の二人の話を(#水曜ぶどう坂練で一緒に走っている萩原が)聴いて、深堀りしていく企画です。

西岡(以下西):先日、東京で出張版「おしえて!マイルスト~ン」に行ってきたんよ。沢山の方に来て頂いて、そこでしか聞けない話を結構してきましたよ。

吉田(以下吉):例えば?

西:それはここでは言われへんけど。わざわざ高いお金出して来てくれてるから。

吉:あ、そうか有料イベントだったんですね。

西:無料です。

吉:無料なんか~い(笑)

西:土曜の夕方にわざわざ来てくれたら、頑張って喋ろうと思うやん。会場はfinetrackさんのTokyo Base でマッサン(いつも水曜ぶどう坂を一緒に走っている同志)が進行役で。フリートークで楽しくやれましたね。

萩:西岡さんの東京出張の話はコチラのブログにも上がってましたね。

 

・欲しい機能の全部

 

萩:さて今日は、クローブの話でしたよね。

吉:元はといえば、入社前の話なんですけど、西岡さんから四国にめっちゃイケてるアウトドアショップがあるから、一回行ってみて欲しいわって聞いてて。

西:取引先さんなんやけど、セレクトが良くて。

吉:そこは手袋メーカーがショップをやってて、手袋もめっちゃイケてると。その時はふうんて言うてたんですけど、そのあと欲しいなと思った手袋が、そのメーカーのものだったんですよ。

 

西:もっとさかのぼると、土井さんとヘッドランプ “Trailmaster”を試してもらう全国行脚の企画「ロードトリップ」で中国エリアを回った時、広島のランプラスさんでランイベントを開催した後に行った場所が岡山で、その一参加者として来てくれてたのが、冒頭で話になった手袋メーカーの生産管理をしている多田さんやったんよ。

吉:割とミニマムなウェアリングを好まれる方ですよね(笑)

多田氏インスタグラムより拝借

 

西:雰囲気のある方やなと思ってたんやけど、喋り方が徳島弁で。俺は田舎が淡路島やから近いし方言がわかるから。はい、地元は徳島なんです、って。香川のhandson grip(ハンズオングリップ)っていう手袋メーカーで働いてるんです、って。僕自身知ってるメーカーやったし、ほんならせっかくやし、土井さんと行くわ!って翌日に瀬戸大橋を渡って四国まで行ったんよ。

吉:そういういきさつがあったんですね。

西:出会ったその勢いで会社へ行かせてもらって、お店も行って。その手袋がめちゃくちゃ良かった。その後ずっと使ってて違うモデルも欲しいなと思ったタイミングで、ヨッシーに一緒に買う?って声掛けた。それ言うてなかったな。

吉:へえー。先方とつながりがあるよ、としか聞いてなかったから。

西:なのでロードトリップ岡山編からのつながりやね。そうやってタイミング良く行けて、それが今につながってる。

吉:ご縁とタイミングですね。

西:すべてがね。出会いってそんなもんやね。ガイダンスやわ。*会うべくして会った、なるべくしてなったという意味。

 

吉:アパレルを西岡さんと二人三脚で手掛けていってて、次じゃあ、トレランで必要なものってなった時に、手袋いるよねと。それなら今使っててめちゃ調子良いhandson gripさんにお願いしようとっていうところからでした。

西:こういうのがいいよねっていう欲しい機能を全部満たしたオリジナルなものを出したいと。

吉:トレランに特化するなら、ボティ自体は防水じゃなくて良くて。寒い時に使うものであるけど、ある程度は汗をかくからウールでなくて。風吹いた時と吹いてない時の手の冷たさは違うから、防風性は必要で。使わないときは収納したい。

吉:そして、いざという時は指を出したい。

西:よく指先に付いている“スマホ対応の生地”ってあるやん、最初は効くけど、何回か洗濯したら反応しなくなることもあるから。結局は素手が一番なので、親指と人指し指が出せる仕様にしました。

吉:外側のミトンは防水ではないんですけど、かなりの撥水性のある生地なのと、耐久性を意識しました。ある程度しっかりしてて欲しいなと。自分が過去に使ってたものは、ミトンの生地が薄くてビリビリに破れてしまってたんです。木を掴んだ時に引っかかったり、ジップに噛んでしまったりして引っ張ると破れて。

萩:これレインウェアに使ってそうな生地ですよね。

吉:専門店さんからも防水ですか?て聞かれましたけど、防水ではないです。強撥水です。ちょっとした雨ならいけます。

 

・milestoneだから大丈夫

 

吉:ボティの生地はpolartec®︎社のパワーグリッドです。でも西岡さんが、そんなにそこをアピらんでええでって言うんですよ。いや、せっかく使うなら言いましょう(アピりましょう)って。僕らユーザーやったら、パワーグリッド使ってるんやなって、じゃあこんな生地やろなって想像もつくし。

萩:保温性と通気性を兼ね備えてる生地ですよね。

吉:グリッド状やから貼り付かないし、汗抜けも良くて。

西:よく製品には生地のロゴやダグがついてるのがあるやん。うちは生地メーカーの代理店でもないし、別に隠してもいいんちゃう?って。わかる人がわかってくれたらいいなと思って。

吉:けどオンラインで買うのにも、その辺はわかった方がええんちゃいますか?って話をだいぶさせてもらって。説得に時間を要しました(笑)

西:最終的にはタグは外に出さんと、一応使ってますよというのがわかるように内側にちょろっと。

吉:そこでようやく西岡さんに納得してもらって。

西:手に取って触ってもらったらわかるし、当然良い素材を使って、自分らの目でちゃんと見て、テストもして良いと思うものを選んでるから、間違いなく良いもの作ってるし。milestoneが作ってるんやから大丈夫って思って買ってもらいたいから。最初からそういう考えだったし、今後もそうかなと思う。

吉:最初は男女共用のワンサイズでと思ってたんですけど、作ってみて、いろんな人につけてもらうと無理で。特に女性からはデカすぎると言われて、結局、『XS-S』と『M-L』の2サイズになりました。XS-Sは手の小さい男性でもいけると思います。

西:生地はけっこう伸びるから指を出しやすいし、極端な話、自分の場合、XS-Sでも着用できるくらい。色は黒1色です。色の名前は?

吉:シンプルに「ブラック」です。

吉:ミトンを収納する部分とか、微妙にこうした方が良かったとか修正箇所があって、だいぶ無理言ってサンプルを何回も上げてもらいましたね。

西:手首の長さが時計に掛かる掛からへんとかもあって。収納できるミトンはレースでテストしても便利で。

 

吉:冬の時期は間違いないですね。求められてたのか、専門店さんからも沢山ご注文頂いて。

西:反応めっちゃいい。

吉:トレランやってる人からしたら全部欲しかった機能やと思うんです。

萩:冬になると、どれ選んだら良いか迷うくらい色んな種類の手袋がお店に並んでますよね。トレランに特化っていうのは意外とないかも。

西:逆に絞ってね。

吉:特化してる方が刺さるかなと。と言いつつ、ファスパにも対応してるという意味で、名前は、『Fast Trail Glove』 なんです。

萩:ファストパッキングのファストなんですね。

吉:走っても走らなくても、速くトレイルを動く時には良いですよという意味が込められてます。これまでずっと音楽がらみで名前を考えてたから、良い名前を思いついたけど音楽関係ないしなと思ってたら、ええやん、別に音楽関係なくてもって言われて。ほんまに?って言いながら、決まりました(笑)

西:良いと思うわ。

 

・おまけの計算

 

吉:ようやく最終サンプルを確認して、これでいきます!と先方にも伝えて、生産スケジュールも話して。なんぼで仕入れてって話してる時に、いきなり“手袋の片方を無くしたりとかよくあるし、このカラビナ付いてたら、モノとしてもっとよくならへん?”って西岡さんが言い出して。

吉:生産管理もさせてもらってるから、それが入ってくると利益計算とか全部狂うわけですよ。ええ?!今?!みたいな感じで。でも、お客さんからしたらこれ付いてたら嬉しない?思わへん?って得意の決めぜりふを。いや、そりゃ思うけど(笑)

西:それ言うな、俺(笑)

吉:すぐ言う(笑)

萩:聞いたことある(笑)

吉:ということでカラビナが付くことになりました。おまけ的に。

西:スキーのグローブなんかにも左右をパチンと留めるパーツがよく付いてるよね。つながってると安心感あるから。プラスチックのパーツが常時付いてても邪魔やし、このカラビナはマルチに使えるなと思ってて。鍵にも使えるし、お店で二個一にして掛けといてもらうのも良いし。吉田さんにもご理解頂いて、得意の「ちゃぶ台返し」させて頂きました。でも結果、良かったんじゃないかなと。思わへん?(笑)

吉・萩:思う(笑)

西:ザックにも付けられるし。ふと思って、ヨッシーに言わずにパッパッと動いて。形になってから、これ付けよう、て言うたかな。

吉:milestone TERADACHOではこのカラビナだけでも500円で販売してるんですけどね。

萩:ちょうど手首のところに「81」のタグがついてますよね。

西:俺の中では全て計算されてこうなってるんやけど、と言うとこうかな。

吉:計算されてないのは、原価計算だけです。

西:うまいこというたな(笑)ええもんつくりたいだけで、お金とか数字とかは後でええかなと思うから。

吉:こっちは必死でちゃんと原価が収まるようにやってるけど、最後にお客さんの立場なら、思わへん?って言われたら、そりゃ思うけど、ってなりますよね(笑)

 

後編へ続く

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