第32回:おしえて!マイルスト~ン「服は道具か、そうでもないか 」

2025/08/25 UP | POSTED BY milestone

この連載は、milestoneについてのアレコレを、三人(西岡・吉田・ハルカ)に(#水曜ぶどう坂練 で出会った)ライターの萩原が聞いて深堀りする、架空のポッドキャスト番組です。

 

・僕らがレインを買う理由

 

萩原(以下、萩):はじまりました「おし!マイ」の時間です。今日は何について教えてもらえるんでしょうか?

西岡(以下、西):レインウェアとウィンドシェルなんですけど、まずは、Up-Swing Rain Hoody の話から。

萩:発売開始したのが、今年の1月でしたよね。8ヶ月で再販っていうのは予定通りですか?

吉田(以下、吉):正直、生産数量を見誤っています(笑)どんなアイテムでもバシッと当てるなんて難しいんですけど。一年分の在庫を作ったつもりが、2ヶ月くらいでほどんど無くなってしまいました。

大森(以下、遥):有難い!

萩:在庫が無くなったからって、すぐ作れる訳じゃないですよね。

西:このレインはイチからやから。生地も別注やし、時間が掛かるんです。


吉:生地メーカーさんが常備在庫してる生地を使っている訳ではないんです。糸から織り上げて、まず生機(きばた)を作って、それをオリジナルの色で染めるところからなので。縫製するだけなら、もう少し早いんですけど。


西:レインは三層構造になってるから、それを合わせる時間も掛かるしね。社運を掛けてやろうって作った商品が思いのほか反響が良くて。もちろん、そうなって欲しいと思って一生懸命やってきたんやけど、今在庫が無くなってるのは歯がゆいところで。8月下旬にはアップして、スイングしてると思う(笑)※注記:つい先日再入荷して早速スイングしています

萩:レインの防水透湿の機能や構造については、第25回「雨に気持ちを上げるもの」でじっくり話してもらってるので、詳しくはそちらを見てもらうとしましょうか。おさらいで、基本的なところだけ説明してもらっていいですか。

遥:いわゆる3レイヤーのレインウェアです。表地は20D(デニール)、裏地は7Dで真ん中のメンブレンは「親水性無孔膜」を採用しています。

透湿度約40,000g/㎡、耐水圧約30,000㎜あります。パターンの特長としては、背中にタックを入れることでトレランザックを背負ったまま、上から羽織れます。フードのツバにはワイヤーが入ってたり、パッカブルになったり、トレランに必要な要素が詰め込まれたレインになってます。


西:ハギは使ってみてどう?

萩:実はまだ買ってなくて(笑)何度も試着して、軽いしストレッチもするし良いのは分かってるんですけど、レインウェアってシューズやザックみたいに毎回使うわけでもないのに、上下セットでそれなりのお値段するじゃないですか。何色にしようか迷ってるうちに無くなってました(笑)9月の信越五岳に向けて、いよいよ買い替えないといけないと思ってるので、もうひと押しが欲しいです(笑)

吉:これ言うと逆の話になるかもですけど、接客させてもらう中で、最近思うことがあるんです。ヘッドランプの場合もそうなんですけど、「これがあったら何処でもいけますか?」と訊かれることがあるんです。けど、それは何をしたいか、何をして遊ぶかによって全然違うんですよね。例えば車で言うなら、時速400キロ出るフェラーリを山の中に持って行っても使い物にならないですよね。ランクルをサーキットで走らせるのも違いますよね、みたいな。まず使い道がはっきりしてないと、お勧めしにくいんですよね。

萩:でも高い買い物になるから、僕も何処でも使える万能なものが欲しいです(笑)

吉:わかります。でも、コレで雪山へ行くと凍えるやろうし、停滞して長時間雨に打たれ続けたら、このレインを着ていても低体温症のリスクはあるやろし。僕らはトレランのレースをいちばんに想定して、このレインを作りました。レースで着ていて問題があるようなことはないと思います。レースに限らずファスパでも使えるよね、とか使用範囲を広げていくと、どこかでズレが出ますよね。どんな道具であっても。

遥:ヘッドランプに関して言えば、MS-i1が全てにおいて勝ってるかというと、使用場面によっては、そういうわけでもないということですよね。


吉:UL(ウルトラライト)ギアなんかも一緒ですけど、なんでもかんでもULで軽ければいいかというと違うやろし。

萩:道具を使う上では、経験に基づく見極めが必要ということですよね。当日の環境や個人差もあるわけで。

吉:今回Up-Swing Rain Hoody とRain Pantsを出してみて、特に思いましたね。

萩:じゃあやっぱり、買う前に使ってる人の声を直接聞いてみるのが大事ですね。ハルカちゃんは、今年上半期の振り返り回でもベストバイに挙げてたよね。

遥:T.D.T.100でも大峯奥駆道でも、先月に行った北アルプスの社員研修でも、雨に打たれた時に着ていました。雨具としてだけじゃなくて、防寒着としても使えましたね、二役です。

西:それで言うなら、雨具だけじゃなくてウィンドシェルの役目も果たしてるな。トレランレースに出るとなるとレインは必携品やから持って行くけど、ウィンドシェルを別で持つ必要がないのは有難い。あとでウィンドシェルの話するからアレやけど(笑)

吉:レインと比べたらOnion Hoodyの方が50グラムくらい軽いかな。

萩:代用できるくらいの差ってことですよね。

西:晴れの時に着れるレインウェアだと思う。伸縮性もあって動きやすいし。

遥:ダブルジップで体温調節できるし、透湿性も良いので不快にならないですね。

吉:着たまま寝れますよ。生地がしなやかでカサカサと音がしないから。社員研修の北アルプスではロングパンツはUp-Swing Rain Pantsだけしか持って行ってなかったんです。だからテン場でも履いてたし、雨降ってなくても防寒着兼パジャマとして使ってました。

萩:まさかのパジャマ(笑)

吉:さすがに何時間も雨に濡れていると、ベチョっとしてくるんですけど、着てるとぬくいんですよね。

 

・玉ねぎの新色?

 

萩:レースや高山ではレインは必須アイテムですけど、近場のトレーニングではウィンドシェルで事足りる場面は多いですよね。ちなみにウィンドシェルは2枚あると便利という説を押してるんですけど。

遥:というと?

萩:走る時に着ると汗で濡れるので、着替えや銭湯後用として、別でもう一枚持っておくと便利なことが多いです。コンパクトになるし。

吉:その説を知ったあなたに朗報です。Onion Hoodyに新しい色が出ます。

萩:残念ながら、自分は既に白黒2着を持っています。これまでもいろんな色がありましたよね。

西:定番3色はソリッドブラック、ポーラーホワイト、ブリティッシュグリーン。シーズナルカラーはサンセットイエロー、ストームブルー、さらにカリフォルニアオレンジと割と明るめの色だったんやけど、新色はロイヤルネイビーとアッシュグレーです。


遥:今回はあえての落ち着いた色で。

西:ネイビーは俺があんまり着ないっていうのがあって。

萩:これまでも何度か聞いた覚えがあります(笑)

西:だからネイビーは作らなくてええかなと思ってたんやけど(笑)Natty Shorts 5_inch”PLUS”にもダークネイビーが出来たことやし、ネイビーも良いかもねって。思ったより明るめの色だし。

萩:確かに。少し暗いブルーとも言えるかも。

西:グレーの方も俺には茶系色に見えなくもないかな。ウォームグレーというか。

萩:グレーは良い色ですね。

西:オニオンは生地も形も変えずに4年続いてる。こういう定番になるものを作っていきたいなと思ってますよ。

萩:もはや皆さんご存知の定番アイテムですけど、もし読まれてない方がいれば、第4回「世界は玉ねぎ?」前編後編で商品開発の過程を語ってもらってます。

遥:基本的な特長だけおさらいしておきますね。貼り付かない肌離れの良い生地で、ダブルジップ、両方の腕にウォッチウインドウとサムホール。

パッカブルでNatty Shorts 5_inchのバックポケットにちょうど入るサイズですね。

萩:自分としては身幅が広いのが良いなと思ってます。例えば某社のウインドシェルで言うと、着丈や袖丈が最適なSサイズで身幅52センチ。オニオンの場合はMサイズが最適で身幅が58.5センチもあるんです。ザックの上から着用できるのが有難いです。

遥:私は入社前から冬のランニングではよく使ってました。背中と脇にベンチレーションもあって、よく考えられてるなって。ジッパーが斜めになってるデザインも、最初はここからですよね。

西:見た目でわかるし、違いがあるのがいいなって。

吉:やっぱりダブルジップがいいですね。西岡さんがコレを作るって時はまだ入社前でしたけど、絶対ダブルジップはやってほしいって言いましたよね。


萩:体温調節には必須ですね。

吉:ウォッチウィンドウも寒い時は使いますね。

萩:特に冬場のマラソン練習で、インターバル走するときには時計をマメに見たいから。

西:右も左も両方付いてるからね。商品名が良かったね。

吉:ようそんなん考えましたね。

西:そやな。俺が考えたんやっけ?

吉:いいえ、僕です(笑)ここからネーミングを決める時の軸が出来ましたよね。音楽でいこうと。

遥:沢山案があったんですか?

吉:マスターブラスター・フーディになりかけてた(笑)自分は、まだ入社前で。マイルストーンといえば西岡修平。西岡修平といえば音楽やから。音楽から取ろうと。それも今どきの曲じゃなくて、色褪せないところから。「ナッティ」はボブマーリーから、「オニオン」は、マービンゲイから。

西:俺はマスターブラスターを押してたけど。長いから結局やめたな(笑)

吉:過去のLINEを見返すと、僕がオニオンをだいぶ押し返してます。

遥:最初は「The Onion Song」だから「The(ジ)」が付いてるのに、いつの間にか消えてますね。

西:ホンマや(笑)ヨッシーがこんなん言うてるで。「もうすぐ完成すると思ったら、涙が出ますわ。玉ねぎだけに」

遥:うまいこと言うわ。メモしとこ。

萩:それでは、今日はこの辺ですかね。

西・吉・遥・萩:さよなら、さよなら、さよなら。

 

街のなかで着る服に基本的に制約はない。どんな格好をしていようが、とりあえずは自由。けれど山の中では違う。外部環境から身を守るため、機能を持った服である必要がある。例えばレインウェアなら、雨から身を守るための防水性や透湿性、動きやすいパターンであることが求められる。活動のための「道具」と言っても良いかもしれない。かと言って100パーセントの道具というわけでもない。カラーやデザインは必ずしも機能のみにとらわれない。「縛り」の中に自由もある。

その「縛り」は活動によって変化する。トレイルランニングとハイキングでは発汗量が違うし、沢に入れば必要なウェアリングは変わる。自転車に乗ればそれもまた然り。それぞれの活動に特化したそれぞれの道具がある。

けれど、どう活動するのか、はたまた活動をどう掛け合わせるかで、無限のバリエーションが生まれる。新しい「縛り」が新しい「道具」の開発を作り手に促す。

そして、それをどう選び、どう組み合わせるか、それは使い手の「自由」でもある。それこそが、アウトドア・ウェアのおもしろさなのではないか、と思うのだけれど。


文・構成/萩原 健

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