第12回:おしえて!マイルスト〜ン「雲をカタチに」前編

2023/12/23 UP | POSTED BY milestone

この連載は、milestoneのアイテムを作ってきた人(ファウンダー西岡)と使ってきた人(中途入社の吉田)の二人の話を(#水曜ぶどう坂練で一緒に走っている萩原が)聴いて、深堀りしていく企画です。

吉田(以下、吉):いよいよ12本目まで来ましたね。

西岡(以下、西):ほんまに早かったな。

吉:早いと言えば、もう今月の収録?って感じで。

萩原(以下、萩):ひと月経つのも早いですねぇ。

西:言うてる間にもう12月。今年一年が早かった。いろんなこと企画して、一つ一つが形になって、見てくれている読んでくれているっていうのは嬉しいね。やって良かったな「おしえて!マイルスト~ン」。良い企画やったな、改めて。

吉:略して「おし!マイ」はあんまり浸透しませんでしたね(笑)

西:毎月25日配信って決めたのが良かったな。ルーティン化して。

萩:締め切りがちゃんとあるって大事ですね。

西:やり取りのラリーもだんだん減って来て。

萩:ようやく慣れてきた感じで。

西:これで終わりかと思うとホンマにさみしいな。

萩:ええええええええ!?

 

吉:ウソです(笑)来年もネタありますから!

西:プロダクトはもちろん、いろんなものをカタチにしていきたいし、この場でお話できる制作秘話も沢山あると思うので「おしえて!マイルスト~ン」を来年も宜しくお願いします。

 

・出会いをカタチに

萩:今日の本題は、アルファ素材のフーディですよね。名前は?

西:「クラウド・フーディ」です。

吉:この名前は「クラウド・ナイン」ってマービン・ゲイの曲からです。雲には番号が付いていて、九番目の雲って積乱雲のことなんです。積乱雲って高くまで上がる雲なので、すごく高まるハイな気持ちを表現してるんです。Polartec Alpha Directの生地のもわもわ感やふわっとした感触から、雲や軽さをイメージして「クラウド」にしようということで。

西:そもそものきっかけは、去年の夏に静岡のアウトドアイベントにいつものように一人で出店してたわけ。ヨッシーの入社前やし。そこにPolartec社の日本総代理店SCTジャパンの方が出店してはって、生地をメーターで切り売りしてたんよ。その代表の方が「milestoneってアパレルも結構やってるんですね」って、うちのブースに来てくれて。でもポーラテックなんて大手アウトドアブランドが扱ってる機能性フリース素材で、当時の自分からしたら敷居高いから、まさかうちで扱えるとは思ってなかったわけ。けどその時に名刺交換して、ヨッシーに今回めっちゃええ出会いあったわ、ってメールしたの覚えてる?

吉:覚えてます。

西:もしかしたら、次につながるかもと思って入社前のヨッシーに送ってた。

吉:「アツい!」とだけ返信した気がします(笑)

西:イベント出店って物売るだけでなくて、もちろんユーザー皆さんとのコミュニケーションの場でもあるんやけど、メーカー同士の横のつながりであったり、いろんな化学反応が起きる大事な場所で。こないだmilestone TERADACHOでポップアップやってくれた「豆んと森」の中川さんもその会場で出会ってて。

吉:やっぱり出なあきませんね、イベント。

西:東京に行く機会が出来たから、会いに行きたいと思ってSCTジャパンにアポ取って会社へ行ったんよ。生地のサンプルを色々見せてもらって、今まで作った各社の製品も並んでて。でもその時点では、まだ何を作りたいかも決まってなくて。せっかくのタイミングで出会ったし、次につなげようと思ってその場で何種類か生地をリクエストして。

吉:僕が入社した去年の11月に、アメリカ本国から生地サンプルがちょうど届いたんです。アルファ・ダイレクトの生地の厚さに60、90、120って種類があるのをその時はじめて知ったんです。

西:アルファは元々、ジャケットなんかの中綿や裏地用の生地なんよね。

吉:例えば表地がナイロンでその裏貼りをする使い方もあるんですけど、そうじゃなくて、その生地だけのアルファ・ダイレクトを文字通りダイレクトに使いたかったんですよ。

萩:“アクティブ・インサレーション”て、日本語にすると、動的保温って訳されますけど、運動量が多くて熱や汗をかなり出す状況でも活躍してくれる行動着っていうことですよね。

吉:2年前の秋に、吹雪のなか信越トレイルを踏破した時に、その効果をめちゃくちゃ感じて。動いてる時は汗抜けしてくれて、止まったら温かいし脱ぎ着しなくて良い。唯一風が吹いた時だけは弱いんですけど、その凄さを感じていて。milestoneでもアクティブ・インサレーションは必要だなと思ってた時、ポーラテックと繋がったよって聞いたから「アツい!」ってなったんです。

萩:冬場はなんか要りますよね、Tシャツとウィンドシェルの間に何か。

吉:中綿ものだと外のシェルの生地があることで、運動量が多いとオーバーヒートしてしまうんですよね。

萩:これまでのいわゆるインサレーションと呼ばれるものは、「動的」の反対で静的保温と言われて、ダウンや分厚いフリース素材で、止まっている時の寒さをしのぐためのものですよね。動き出して暑くなると脱いでたけど、ずっと着てられるようになりましたってことですよね、こういうのが出てきて。

 

・モノとしての品位

 

吉:実際使ってみないと、分厚さ違いも生地のままやと何が最適かわからんから、適当なパターンでええからって服の形にしてもらったんですよ。なんの変哲もない前ジッパーでフードの付いてるパターンで。しかも色は白で(笑)

萩:着て走ってるの見たことあります。だだの部屋着のパーカーにしか見えませんでしたね(笑)

吉:山で走ってテストしたんですけど、60はスケスケで寒くて。

西:空気の抜けが良過ぎてね(笑)

吉:去年の冬1月2月に生地の効果がわかりやすいように裸に着て走ってたんですよ。

萩:ちょうど1年掛りだったんですね。

吉:アクティブインサレーションは、OCTAやプリマロフト社のコアや既に各社出してるから、使い倒してどんな形に仕上げていくのかは、だいぶ西岡さんと議論しながら作っていきましたよね。だから時間が掛かったっていうのもありました。

吉:僕の機能面でのこだわりと、西岡さんの見た目を含めたプロダクトとしての品位の追及というか、そのコラボになったと個人的には思ってて。

吉:この素材の機能を最大化させるのは、当初からダブルジップの前開きちゃうかなと思ってたんです、カブリじゃなくて。でも生地は全部アルファでええんちゃうかなと思ってたんです。ただ、西岡さんの美的感覚からしたら、それは嫌やと。特に最初のサンプルがダボダボの白やったっていうのもあるんですけど(笑)これが全然ええもんに見えへんと。モノとしての品位が上げたいというのは言うてはって。確かに真冬に裸に着て走るとお腹を壊したことあったから、お腹を冷やさないように、そこはグリッドフリースにしても良いかもですねって譲歩して。

西:もっと言うと、ヨッシーはポケットなんか絶対いらんいうてたわけ。ポケット付けるか問題はいつも出るんやけど、カリカリで全部無しは他社さんが既にやってはる。そこにうちが入っていっても軽さ重視のメーカーさんは他にあるから、うちはやめようと。グリッドをどこに使うかを考えようと言うたのは覚えてる。全面この生地では、モノとして魅力を感じなかったし、なんかちゃうなっていうのがあって。

吉:そこはモノ作りの核心というか。milestoneとしてモノを出すなら、milestoneは全部「西岡修平」じゃないとあかんと思ってるんですよ。西岡さんがコレちょっとどうなん?って思いながら僕だけが、これめっちゃええと思うって出して売れたとしても、それはmilestoneじゃないって思ってるんです。西岡さんが良いと思うものを出したいし、今の感覚だけじゃなくて、色んなインプットしながら幅を広げるお手伝いもさせてもらいながら、西岡さんが選び取ったものを世に出していきたいと思ってるから、ここはそういうやりとりを沢山しました。

吉:うちらしさが必要だから、西岡さんからオニオン・フーディのディテールは踏襲させたいっていうところで、サムホールやウォッチウィンドウ、首元のジッパーのアシンメトリーなデザインを足していきました。全く同じではなくて、素材の良さを生かして、防風になるオニオンを上から着ることを想定して、真冬でもこれで走れるフードのパターンに変えていて、バラクラバに近い形になってます。オニオンは口が出るんですけど、クラウドはほとんどの人は口が隠れるようにしてます。

萩:より寒い環境に対応できますね。

吉:グリッド部分はフリースやから風は抜けるんですけど、保温性は上がります。

西:腕やザックがあたる肩は耐久性を上げる意味でグリッドにしてます。トレイルランはもちろん、ハイクでもバイクでも、雪山でハードシェルの中にも着てもらえるだろうし。使い方の幅広いアイテムになったかな。

西:最後に納品形態と同じ状態の最終サンプルがいよいよ上がってきて。そしたら、ポーラテックのタグが付いてもうてるやん!って。

吉:もともとそういうのいらん派やから(笑)

萩:第10回 Fast Trail Gloveの時にも言うてはりましたね。

吉:ポーラテックやから良いですよ、買ってくださいとは言いたくないし、そういうつもりで作ってないっていうところで。milestoneやから良いですよ、でありたいと。

西:良い生地やから使わしてもらってるけど、わざわざタグ付けんでも。そしたら量産前の最終確認用サンプルには、当たり前のようにタグが付いてるから、あああ!って思ったんやけど、、、でも、めちゃ締まってええもんに見えるやんって思って。結果、付けてます。(笑)

 

後編へ続く

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