第2回:おしえて!マイルスト~ン「同じ頭につけるもの」(後編)

2023/02/27 UP | POSTED BY milestone

ものづくりへのこだわり

N:次のヨッシーの新作楽しみやな。あのサンプルはもうすぐかな。入ってすぐの入社初企画。

Y:そろそろ帽子の新色を仕込みません?ていうたら「ほな、やって」って言うてもらえて。

N:今まで全部やってきたから。やっぱりどうしても自分の好きなスタイルってあるやん。でも全然違うヨッシーの感覚で作ってくれたらええなと思って。

Y:製品化されるかわかりませんけど(笑)

N:自分で作ったものが、世に出て受け入れられる快感を感じてもらいたいなと思って。

Y:逆もありますよね(笑)全然売れへん可能性もありますから。たぶん、あれ?違う人がデザインした?ってなると思う。テイストが違うから。

N:それも良いと思う。逆にテイストが違う人に受け入れられたらええし。変化球っているやん。ずっと直球でもバッターは飽きてくるし。で、今回はヨッシーにお願いしてみた。お互いの得意としてるところをどんどんやっていって、もっとええもん作っていければええなって。帽子以外の新しいもんも。

Y:milestoneの中に入ってから思ったのが、西岡さんって最後の最後まで、この商品はこれでええんかなって考えてるなと思う。工場さんからしたら「今変えんなよ」ってタイミングでも変える(笑)

N:あるかも(笑)

Y:「やっぱこっちの方がええと思うねんな」って良い意味で平気でそこを変えられる人。こないだ出したユーティリティバッグの名前も最初、ザックもどーんと入れられるし、温泉にも行けて多目的に使えるマルチパーパスバッグでいこうとしてたけど、「ユーティリティバッグってどう?」って言われて、内心「変えた!」と思ったけど(笑)そっちのほうがしっくりくるし良かったですよね。

N:最後の最後まで考えてるけど、人の意見もそっちの方が良かったら全然そっちにするし。

Y:すごく聞いてくれるし、すごくフラット。誰かがここまで準備してくれてるとか関係なしにフラットに「これが良くない?」って言える人やなと思う。

N:ええものを作りたいから、そうありたいなと思う、迷惑かかるかもしれんけど。

Y:そういう人って珍しくて、今まで数人しか出会ったことないですけど、たいがいクリエイティブな良いものを出してる気がします。

N:なるほど。俺は分析とか下手やし、言われたらそうかなと思う(笑)

Y:そういうのが、使ってくれてるお客さんに刺さってる気がします。オニオンフーディでも最後の最後にひとつありましたけど、またそれは別の機会に(笑)本人は気づいてないけど、帽子でもそういうことしてはる気がします。

N:自分の中でしっくり来てない時は、何かちがうんやろなと思うから、その辺の感覚は大事にしたいと思ってる。

Y:最近わかってきました。まだこれ西岡さんしっくり来てないな。ここはまだ泳がしておこう。腹八分目で止めとこうって思ってます(笑)時が満ちるまで。

N:(笑)

 

タイミングとつながり

 

N:キャンパー向けから、トレランにシフトチェンジしたタイミングに帽子があったのも良かったと思う。

Y:ほんまええタイミングでしたね。

N:帽子がなかったら乗り遅れてたかもしれんし。ヘッドランプをやってたから取引先もあったし「うちこんな帽子もやりました」いうたら入りやすいやん。milestoneが最初から帽子メーカーやアパレルメーカーだったら、今みたいな関係性も築けけてなかったと思うし、ヘッドランプメーカーとして信頼関係があったからこそ、みんな受け入れられたっていうのはあるのかなと思う。

Y:そもそもアパレルやろうと思ってたんですか?

N:全然。

Y:帽子から次々に広がっていきましたよね。

N:次がTシャツかな。ソックスやってナッティショーツ、オニオンフーディとやってきたけど、ほんま面白いよね。なかなかやろうと思ってもできへんし、ふつう。しかも、やったからってお店側も受け入れてくれへんと思うよ、ふつうは。ライトメーカーが作ったウィンドシェルを誰が欲しい?(笑)。でもそれは、ヨッシー他、水曜ぶどう坂練のメンバーも真剣に意見言うてくれるし、だからこそランナーに受け入れられていると思ってる。自分一人ではできへんかったからマジで有難いし、今後もみんなからの意見は聞きたいと思ってる。ヨッシーと知り合った頃に、ぶどう坂では“milestoneの営業的なことはあんまりしたくないねん!”っていうてたけど、今ではみんな良き理解者というか応援してくれてるのを感じてるし。

Y:その話を最初の頃してましたね。まだ僕が前々職の時。ほんなら「僕使こたらええやん、milestoneの営業部長になりますわ!」いうてたら、ほんまになりましたね(笑)

N:ほんまやわ(笑)新店舗も春には完成するし頑張ってもらわんと。

でも、話は戻るけど、帽子の何がたくさんの方達に受け入れられたのか? 元々のかたちが良かったのか、インフルエンサーの影響なのか、色か機能か、値段が良いのか、ほんまわからへん(笑)

Y:名前も良いですよね。カナリーイエローとか。

N:エボニーブラックとか。名前がめっちゃ良いねってお店の人から言われたことあるわ。ピスタチオとかカベルネとかラテとか。中間色やし、なるべくイメージしやすくしたいと思って。

Y:たしかにそっちの方が愛着が湧きますよね。

N:これまで作ってきた帽子で、廃番にしたのが一種類あって。今思ったら、別に廃番にする必要なかったんやけど、MSC-010の「フェニックスレッド」。

今も勝負レースにかぶってくれてる人もいるけど、唯一あれだけ。

別に出てなかったわけじゃないけど、当時は結構つくって、あ、動きが悪いと思って焦ったんかな。ほんで廃番にした。「LIGHTING YOUR WAY」が入ってからあれだけかな。赤は響く人には響くけど、ちょっと強すぎたんかなって。それで今度、新店舗限定で赤を出すねん。配色は変えてるけど。うちの店で買ってくれたとわかるものを作っていこうと思ってて。

 

Y:お土産的な限定モノですね。

N:帽子二種類出すんやけど、そのひとつは一度廃番になった赤。

Y:戻ってくるわけですね。不死鳥(フェニックス)のように(笑)

最後に、帽子の後ろに付いている「81」の由来を教えてもらっても良いですか?

N:「81」の由来は「マイルストーン検定2級の問題です」っていつもいうんやけど。

Y:なんですか?!それ。

N:長なるし今度でええかな(笑)

Y:わかりました~(笑)

今回もまた、他では聞けそうもない話をがっつりしてくれました。帽子の人気の秘密を探りたいなと思っていたわけですが、理由をひとつに絞れないということこそが、最大の理由というか。かぶる理由が沢山あるとも言えるわけですよね。

西岡氏がデザインしているというよりも、細部までこだわって「トータルにものづくりをしてる」感が伝わってきました。さらに、そこに吉田氏が加わって、これからどうなっていくのか楽しみです。会話の中に新作情報も漏れてましたし。では、2級の解答を考えつつ、次回もお楽しみに。

文・構成/萩原 健

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