第4回 おしえて!マイルスト〜ン『世界は玉ねぎ?』前編

2023/04/25 UP | POSTED BY milestone

この連載は、milestoneのアイテムを作ってきた人(ファウンダー西岡)と使ってきた人(中途入社の吉田)の二人の話を(#水曜ぶどう坂練で一緒に走っている萩原が)聴いて、深堀りしていく企画です。

萩原(以下H):今回取り上げるのは、ウィンドシェル「Onion Hoody」なんですけど、お二人は、ウィンドシェルって今まで何着てました?ちなみに自分はずっと某P社のもので、ヘタってきたら色違いを買い直したりしてて、ずっと不満無かったんですけど。

西岡(以下N):定番のやつね。

吉田(以下Y):色々着てきましたけど、作りが大きくてランニング向けじゃないなと思ったものも有れば、軽さを追及したハーフジップのかぶりのやつも使ったりもしましたね。

H:そもそもウィンドシェルって、その名前の通り風よけであって、防寒の為の薄いアウターのことですよね。そこに使用目的として山を走るなら、ってところかなと思うんですけど。

・ロングトレイルでのテスト

N:ウィンドシェルを作るにあたって色々着てみたんやけど、シルエットは良くても、汗かくとベタっと貼り付いたのが不快だったことがあって。だから、まずは良い生地ないかなと思って探して。軽さを求めて薄過ぎるともろくて弱い。糸が細くて破れや摩耗で裂けたりするから、ほどほどの生地を選定するのが大事やった。最初に「これや!」って生地に出会えたから、進めやすかったと思う。

 

Y:その生地のファーストサンプルを持って、信越トレイル(長野県と新潟県の県境に連なるロングトレイル)に行ってテストしたんですよ。雨飾山まで行ったから200キロくらいかな。

H:何日掛かるんですか。連休に?

Y:五泊六日です。会社辞めて行きました(笑)10月の頭だったんですけど、季節外れの雪と大雨といろんな天候があって、人体実験には良かったです(笑)濡れても貼り付く不快感がなくて、帰ってきて「この生地が良いと思う」って言いましたよね。

N:裏面に凹凸があって、いわゆる「肌離れが良い」生地なんやけど、そこはだだ着てみるだけじゃなくて、使ってみないとわからないところで。この生地に出会えたのは大きかったかな。シルエットやギミックはその後かな。

Y:西岡さんから、ウィンドシェルの相談を受けた時、まず、ダブルジップは必ずやって欲しいって言いました。走ってる人は分かると思うんですけど。

H:熱を逃がすのに、上からじゃなくて下から開けたいですよね。

Y:ファーストサンプルから付けてもらってて、信越トレイルの過酷な環境では、想定通り活躍してくれました。脱がずに微妙な体温調節ができて、かなり重宝しましたね。

H:各社やり出したのは最近ですかね?

Y:雪山想定のゴツいシェルとかには昔からあったけど、超軽量のウィンドシェルに付き出したのは最近だと思います。トレイルランニングになると、やっぱり止まりたくないし、走りながら体温調節したいから。

 

・何を足して何を引くか

 

N:テストもして、生地もこれで行こうと決めて、どこで差別化を図っていくかという時に、ファスナーのアシンメトリーをやりたかった。顎に当たらないというのもあるけど、パッと見て「あそこの」ってわかる要素入れたかったというのもある。

H:髭に噛まへんっていうのもあります?

N・Y:確かに(笑)

N:サムホールは要るなと。あと、脇と背中にベンチレーションも付けて。寒さ対策であり、暑さ対策として。

Y:その後、サンプル上がってきて、水曜ぶどう坂練でテストした時にN氏が「ザックの上から着たいっすわ、これじゃ着れないっすわ」って言うから、身幅だけ大きくしましたよね。普通のウィンドシェルより着丈に対して身幅が大きいと思います。それは、ザックを着れるようにっていうサイズの設定してるので、横はゆったりしてます。その辺は調整しましたよね。

H:ウォッチウィンドウは最後ですか?

N:ウォッチウィンドウはほんまにやって良かったんやけど、これまたM先輩の提案で。もうひとひねり欲しいなって思ってた時に、ぶどう坂で「時計見えたらええんちゃう」言うてくれた。

Y:手袋とかには既にあったギミックだから、物理的にはできるんちゃうかなって。

N:ヨッシー(吉田)は左利きやから、それなら両方に付けようと思って。右利き人も左利きの人も対応してる。

H:ポケットは付けなかったんですよね。

N:ウィンドシェルにポケット要るのかなって。結論、シンプルにいこうということで無しにした。

H:スマホも重いから入れないですよね。

N:せやねん、スマホはナッティショーツの後ろポッケに入れてもらって。

N:ウィンドシェルは状況に応じて脱ぎ着するもんやからさ。

Y:それからファスナーの引き手作ってましたね。わざわざ(笑)

N:めっちゃ細かいけど。こういうパーツを金型起こしてまで作った。

Y:入社前でしたけど、見た時に結構ビビりました(笑)

N:見る人が見ればわかるから。

Y:見た目だけじゃなくて、機能的にもゴムのパーツがついてることで、手袋してても上げ下げしやすいですよね。

 

・カラーネームの秘密

 

N:カラーは3色で黒、白、グリーンなんやけど、グリーンがいちばん人気かな。

H:グリーン系っていうのは決めてたんですか?

N:自分の好きな色かな(笑)。黒とグリーンは欲しかったから、逆に白が攻めだなと思ってて、やってみたい色だったかな。ちょっとグレー掛かった白で良い色になったと思う。

Y:3色とも調合してこのためにオリジナルカラーを作ってもらいましたよね。

N:そう。そのかいあった。色の名前はいつも悩むんやけど、また走りながら相談して。英国車に使われる、イギリスの森に由来する伝統的なグリーンがあるって教えてもらって。ブリティッシュグリーンはそこから。

Y:白は極地をイメージしたポーラーホワイト。

N:ソリッドブラックは「グッ」という黒。わかるかな?(笑)

H:あんましわかんないです(笑)

N:色の名前は今後も付き合っていかなあかん問題で。おんなじ名前やったら出荷を間違えるやつもおるわけ、中には。

Y:(笑)

N:例えば、こないだ発売したTシャツに「アッシュグレー」があるんやけど、靴下にも「アッシュグレー」があって。考えられへんけど、間違えるやつがおるわけ。品番も値段も全然違うのに。色だけみて出荷するやつがおるから、間違えへんように色の名前を変えていこうと思って。

H:まさかの出荷ミス対策?!(笑)

N・Y:(笑)

Y:あと、帽子に「オリーブ」が二つあるのが危険なんですけどね(笑)

N:毎回言うてるかもしれんけど、色のイメージを大事にしたいと思ってるんよ。

Y:商品のことを、西岡さんは「この子」っていうんですよ。無意識だと思うんですけど。

一つひとつの商品を大事にしてるから名前を付けたがるんですよ。

H:まさに命名ですね。

N:自然とそうなってるかな。

Y:オニオン・フーディも”オニオン、オニオン”って呼んでたら可愛くなっていきますよね。前回言いかけましたけど、オニオンって名前は最初、西岡さんは乗り気じゃなかったですよ。

N:「ジ・オニオン・ソング」って曲の意味やメッセージを知れば、だんだん良いなと思えてきて。パッカブルで玉ねぎサイズになるし。「マスター・ブラスター・フーディ」じゃなくて良かったんちゃう(笑)

H:何それ?(笑)

Y:(笑)スティーヴィー・ワンダーの曲で。たくさん出した候補の内の一つです。

 

後編へ続く

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